〔研究所情報〕
発達障害情報センター、この1年
http://www.rehab.go.jp/ddis
研究所 発達障害情報センター 深津 玲子



 発達障害情報センターは平成20年に厚生労働省内に開設され、同年10月1日当センターに移管されました。その後22年1月にウェブサイトの全面リニューアルを実行し、また全く新しい情報共有システムを構築しました。これは国リハニュース317号(平成22年3月号)に詳しく報告をしたので、今回はリニューアル後の1年間の活動について紹介します。
 情報センターウェブサイト(http://www.rehab.go.jp/ddis)をご覧いただいたことはあるでしょうか?サイトは7つのカテゴリーに分類されたコンテンツから成り立っています。「発達障害に気づく」「こんなとき、どうする?」「発達障害を理解する」では発達障害に関する正しい知識を持っていただくための内容です。「発達障害者を支える、さまざまな制度・施策」「日本の取り組み・世界の動き」では発達障害に関する制度の情報を提供しています。「相談窓口の情報」では発達障害者支援の拠点機関となる全国の発達障害者支援センターを紹介しています。「発達障害に関する資料」では公的機関で作成されたガイドブック・マニュアルおよび国の助成で行われた研究(厚生労働科学研究など)の成果物等の情報を掲載しています。当サイトでは原則週2回(月曜日・木曜日)に記事更新を行っています。全面リニューアルを実行した昨年1月20日以降本年1月19日までの1年間で記事更新回数は108件、更新箇所は図1に示したとおりです。外部リンクとなるイベント情報、資料の紹介が多くなっていますが、発達障害者施策の動向に沿って、近々「発達障害者を支える、さまざまな制度・施策」「日本の取り組み・世界の動き」のブラッシュアップを予定しています。また知識に関するコンテンツである「発達障害に気づく」「こんなとき、どうする?」「発達障害を理解する」では、作成記事を当事者団体代表および有識者よりなる検討会において文章チェックをしていただいています。特定の障害者に不利、差別となる表現がないように、という観点からです。したがって情報センターで記事を作成してから実際の掲載までには何回もの書き直しが必要となり、時間がかかります。最近最終了承を得た原稿が準備できましたので、今後順次掲載予定です。またアンケートでイラストを入れてほしい、との要望が多くあったことを受け、準備を進めています。来年度早々に「こんなとき、どうする?」にイラストが挿入される予定です。
 では発達障害情報センターサイトにはどのくらいのアクセスがあるのでしょう?図2に昨年1年間のアクセス数を示しました。ウェブサイトのデイリーアクセスをみると、平日は平均して約800のアクセスがあり、休日は少なくなります。その影響でしょうか、お盆休みがある8月はアクセスが少なくなっています。では情報センターウェブサイトで人気のある(参照数の多い)コンテンツはなんでしょう?図3にコンテンツ別ページ参照数を示しました。発達障害の知識に関する情報センターオリジナルコンテンツ(「発達障害に気づく」「こんなとき、どうする?」「発達障害を理解する」)は最も参照が多く、トータルで全参照数の半分を超えます。次いで「相談窓口の情報」です。これは全国の発達障害者支援センターの問合せ先変更や新規開所などに最も早く確実に対応している、との評価を受けています。今後もサイトユーザーのニーズに答える情報記事の拡充に努めたいと思います。
 情報センターサイトのご紹介をしてきましたが、発達障害情報センターにとってウェブサイト運営は業務のごく一部に過ぎません。現在発達障害者支援センターの中核機関としての機能を果たすべく、厚労省、情報センター、支援センターの情報共有体制を強化したところです。今年度中に3者を会員とする会員サイトを開設し、全国支援センターの体制・実績のみならず独自の取り組み等についても収集し、データベース化して会員が利用できるよう構築中です。冒頭で述べた新しく構築した情報システムを活用し、web上で簡便に情報収集が可能となると考えています。また発達障害者支援に関連する最新の研究について情報収集し、わかりやすい形で国民に情報提供することを目的に、研究班会議、報告会に参加し、研究者とのコミュニケーションに努めています。その発展として、現在東京学芸大学加瀬研究室と共同し、相談支援ポイント集のブラッシュアップを行っています。また発達障害教育情報センターと定期的に会議を持ち、発達障害に関する情報を補完的に提供できるよう検討を続けています。また国外の発達障害者支援制度の調査、研究を有識者と共同して進めています。今後ウェブサイト以外の方法でも発達障害に関する普及・啓発を行っていくため、現在検討を行っています。このように発達障害情報センターの仕事は多岐にわたり、どれも新しい試みです。発達障害に関する情報収集・提供、調査研究、普及・啓発、支援センターとの連携による関連機関のネットワーク化等を通じ、発達障害に関する基本施策の推進の一助となれば、とスタッフ一同がんばっています。情報センターはプロジェクト参加型の部署です。みなさまのご興味、ご関心をいただき、協働の分野をご提案いただければ、いつでも情報センターは扉を開いています。

(図1)発達障害情報センターサイト更新状況
(図2)月別比較
(図3)コンテンツ別ページ参照数