〔学院情報〕
平成23年度学院入学式
学院事務室


 桜が満開となった4月7日(木)の10時から、当センター学院講堂において、新入生66名を迎え、平成23年度入学式を開催しました。

 3月11日の東日本大震災により、入学式を延期または中止する大学等が多くみられましたが、当学院では被災地から入学される学生さんに被害の状況や来校可能かどうかなどを確認した上で、予定どおりの日程で開催することとしました。入学式に先立ち、出席者全員で東日本大震災で犠牲になられた方々に哀悼の意を表し、黙祷を行いました。


(写真)中島学院長からの式辞

 式典では、開式のことばに続き中島学院長から式辞がありました。式辞の中で学院長は、「被災地でボランティアとして活動したいと考えている学生もいるでしょう。人の役に立ちたいと考えるのは専門職をめざす皆さんとしては当然と考えます。しかし現地のボランティアを支えるためには、その背景として健全で豊かな社会が必要です。被災地の復興には多くの税が支援にまわるでしょう。普通に働いて税を納めることも大切です。学生が勉学を放棄すると日本の健全で豊かな将来を継続することが困難になります。被災地の復興のために勉学に励んでください。」と述べられました。

 続いて、江藤総長より祝辞がありました。祝辞の中では、まず新入生の皆さんに対してお祝いの言葉が述べられた後、センターの概要やミッションについてふれられました。そして、「皆さんが目指す仕事は障害のある方と直接接してそれぞれの専門的サービスを提供することです。適切な接遇マナーを身につけ人の心がわかる専門職になること、それぞれの障害の特性について知識や技術を習得することが必要です。勉強や実習などで困ったときには気軽に担任の先生方や先輩に相談してください。新入生諸君が有意義で充実した学生生活を送ることを期待します。」と話されました。

 引き続き、新入生紹介のあと、視覚障害学科2年の廣瀬利香さんが、歓迎のことばを述べました(文末に全文掲載)。

 その後、いただいた祝電を披露し、当日参列された当センターの幹部職員の紹介を行った後、学院歌を斉唱して終了しました。

 

 以下、各学科の教官から、新入生について紹介します。

 

言語聴覚学科

 春らしく桜の花がほころぶ中、ST学科には33期生として30人が入学しました。平均年齢24.5歳、男性4人、女性26人という構成です。出身学部は、心理、福祉、教育、言語、語学系が多いのは例年通りですが、工学、栄養、法律、演劇、など多様なバックグラウンドと職業経験をお持ちの方もいらっしゃり、これからどのようにクラス内が活性化されていくか楽しみです。

義肢装具学科

 30期生として10名が新たなスタートを切りました。男性、女性各5名の構成で、高卒4名、高専卒2名、大卒4名となっています。最年長26歳、最年少は18歳で平均年齢21.3歳と今年度はばらつきの少ない年齢構成となっています。各人のバックグラウンドは芸術系、機械系、人文系と例年同様バラエティに富んでいますが、皆ここでは同じ目的の下に一からのスタートであり、お互いを刺激しつつ日々成長していって欲しいと願っています。

視覚障害学科

 視覚障害学科22期生は7名(男性3名、女性4名)が入学しました。男性は皆職歴があり、女性は皆新卒と、対照的な組み合わせとなりました。

入学早々、2年生の演習の餌食となり、4月から毎日のようにアイマスクをつけて歩かされておりますが、これまでの様々な経験を糧に、厳しいカリキュラムを乗り切っていってくれるものと期待しております。

手話通訳学科

 22期生17名が新しい仲間として加わりました。年齢構成は例年同様、22〜23歳の新卒組、20代後半から30代の社会経験組、そして40代以上の"第二の人生"組がそれぞれ3分の1ずつといったところ。男子は4人で昨年とほぼ同じ比率です。特筆すべきは、今年は入寮希望者が多く、久々の抽選となったことでしょうか。年齢も出身地も社会経験も異なる新入生たち、さっそく手話の世界にどっぷりつかる毎日を送っています。

リハビリテーション体育学科

 満開の桜に迎えられ、21期生として2名が入学してきました。出身地は北海道と奈良県と少々遠方ですが、共に大学でスポーツ科学を専攻し、教員免許を取得してきた笑顔がステキな女子たちです。得意なスポーツはそれぞれバスケットボールとバレーボールで、身体技能に加えコミュニケーション能力が要求されるチームスポーツを経験してきました。このスポーツの経験は、今後、さまざまなことに取り組む際の大きな力になることでしょう。

 

 

歓迎のことば

 満開の桜が待ちこがれるこの春、新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。本日、この学院にご入学された皆さんを在校生一同心から歓迎いたします。

 今日この講堂に集まり隣り合った仲間の様子を知るまで、皆さんの胸にさまざまな思いがよぎっていたと想像しています。私たちも一年前には同じ席で、これから始まる新しい生活への期待や不安に頭がいっぱいでした。この国リハには季節がすすむにつれ、色とりどりの花が咲き出します。やわらかな若葉が芽吹き、そしてのどかな鳥の歌声も響いてきます。豊かな自然に囲まれてともに夢への一歩を踏み出し、のびのびと毎日を送ってゆきましょう。

 この学院は、言語聴覚学科、義肢装具学科、視覚障害学科、手話通訳学科、リハビリテーション体育学科、の5つの科があり、それぞれの分野における専門職のための多彩なカリキュラムが組まれています。講義と共に1年が過ぎるのはあっという間です。そんな中他学科の人たちとの交流は、学生同士でしか知りえない共感と親しみに満ちています。皆さんにも垣根をこえて、互いの好奇心や知識欲の交換を楽しんでもらいたいと願っています。

 センター内には学院のほかに、職業訓練や生活訓練を行う自立支援局、病院、研究所などがあり、見学や実習でお世話になる機会があります。それらを通じて、講義で学んだ理論を実際に体験し、知識をより深めることになるでしょう。そして、障害のある方と接するなかで、それまで気づけなかった当事者のニーズが見えるようになり、自分の感受性を大きくはぐくむ機会を得るはずです。

 勉強以外にも学科対抗のスポーツ大会や交流会、そしてセンターを利用されている方たちと、ともに協力して行う体育祭や並木祭といった行事があります。このような機会を大いに利用して、みなさん独自の視野を広げて下さい。

 これからの日々は、楽しく充実していると同時に、つらく苦しいこともあるかもしれません。遠く所沢の街で平穏に暮らしていても、3月の東日本大震災によって起こった悲惨な事実に無関心ではいられません。身につまされる思いを抱えることが現実に生じたら、皆さんはどうされますか?私自身は、横に並んだ仲間たちを頼りに悩みを乗り越えました。上級生にも相談をもちかけました。すぐに解決でできなくても、気持ちがほぐれ思考をつかみなおせたことを思い出します。私たちは、生まれた場所やこれまで歩んできた道は異なりますが、同じ志を持ってここに集まっています。これから始まる学院生活を通じて、良い友達をたくさん見つけてください。

 最後になりますが、私たち上級生も気持ちを新たにして歩みを進めます。新入生の皆さん、今日この瞬間に抱いた希望や情熱を忘れることなく、国リハで生まれる出逢いの1つ1つを大切に共に頑張りましょう。

 以上、皆さんのご入学を心からお祝いし、歓迎のことばとさせていただきます。

平成23年4月7日
視覚障害学科2年 廣瀬 利香