〔魚拓シリーズ36〕
「ツバメウオ」
元更生訓練所理療指導室長 川政 勲


 ツバメウオはマンジュウダイ科ツバメウオ属の魚。釧路、富山湾以南、インド洋〜西部太平洋に分布する。体長は成長すると1メートルにもなる。
 幼魚期と成魚期とでは体色と形態が著しく変化するばかりではなく、泳ぎ方も違う。全長10センチほどの幼魚は日本の沿岸に夏から秋にかけて出現し、表面の流れ藻などのゴミの周囲に身体を横たえて枯れ葉を思わす擬態をする習性がある。
 成魚は浅海の中層に浮かび、100尾を超す大群を成すことがある。
 人に慣れやすく、自然海での餌付けが容易。クラゲを突くことがある。
 何処の水族館でも群れを成して悠々と泳いでいる姿が見られ、何か所もの水槽で飼われている人気の魚である。
 マンジュウダイ科の仲間で、アカククリやナンヨウツバメウオと言う名の魚も居るが、どちらかと言うとこれらの魚の方が燕の姿に似ている。
 夏から秋にかけて市場でも見かけるが臭いと脂が強いので好き嫌いがある。臭いさえなければとても美味い魚で、刺身、塩焼き、ムニエルなどになるが余り馴染みのない魚である。
 このツバメウオは釣りの師匠が釣って八潮まで送って下さった物で、十数年前にも一度送って下さった。いずれも魚拓に取るのに時間がかかり過ぎて、鮮度が落ちてしまったり、何人かで交代で魚拓にするために使い回しをしたので食べることは出来なかった。


写真 ツバメウオの写真