〔研究所情報〕
「平成23年度発達障害者支援センター
全国連絡協議会総会及び実務者研修会」
参加報告
発達障害情報センター 斗内沢 邦男


 発達障害者支援センターは、発達障害児(者)への支援を総合的に行うことを目的とした専門的機関で、都道府県・指定都市自ら、または、都道府県知事等が指定した社会福祉法人、特定非営利活動法人等が運営しています。発達障害児(者)とその家族が豊かな地域生活を送れるように、保健、医療、福祉、教育、労働などの関係機関と連携し、地域における総合的な支援ネットワークを構築しながら、発達障害児(者)とその家族からのさまざまな相談に応じ、指導と助言を行っています。
 その発達障害者支援センターの全国組織である「発達障害者支援センター全国連絡協議会」の平成23年度総会及び実務者研修会が、平成23年6月3日〜4日に大分県大分市において開催され、出席しましたのでご報告します。
 1日目午前の「総会」では、平成22年度事業・決算・監査の各報告・承認、平成23年度事業計画・予算案の審議・承認がされました。今年度より「石川県発達障害者支援センター」が新会員となり68団体となりました。午後の研修会では、厚生労働省及び文部科学省からの行政説明後、発達障害情報センター深津センター長から、ウェブサイトのアクセス情況や支援センターの情報共有サイトについて情報提供を行いました。次に全国6ブロックに分かれ、支援センターの活動状況や被災地支援についてブロック別懇談会が行われました。終了後は再度全体が集まり地元大分県からの情報提供を中心とした情報交換会が行われました。
 2日目午前は2つの分科会に別れ「分野別実践報告」が開催されました。第1分科会(支援者ネットワーク)では、茨城県、愛知県、堺市の支援センターから、第2分科会(家族・当事者ネットワーク)では、青森県、広島市、熊本県の各支援センターからの実践報告がされました。午後は公開講座となり、会場となった「コンパルホール(文化ホール)」に支援センター職員のみならず、一般参加者を含め300名ほどの参加者が集いました。「発達障害児・者のユニークさを伸ばす」と題して、東京大学先端科学技術センター中邑賢龍(なかむらけんりゅう)特任教授の基調講演及び「自助活動支援について」のシンポジウムが行われました。「東京大学先端科学技術センター」には、バリアフリーをテーマに福島智教授も所属されているところです。中邑賢龍特任教授は、障害のある人の支援のポイントを理解し、合理的配慮を提供した新しい支援を見出そうと①障害ではなく困難という視点にたち自分の問題として考える②身近なテクノロジーを活用する③本人の努力だけでなく周囲の配慮も不可欠というお話をされました。またシンポジウムでは北海道、島根県、大分県の発達障害当事者がステージ上で、自らの言葉で自らの経験を語りました。とても力強い発言ばかりでした。
 会場では、九州という東日本から遠い場所にもかかわらず、多くの方々が「東日本大震災復興義援金」を寄せておりました。今回の研修会は、国の施策や今後の方向性について確認し、改めて発達障害に関する専門性の向上と支援ネットワークを広げていくことが、支援センターの役割として大切であることの再認識の場となったように思います。


写真は会場となったコンパルホール
会場:コンパルホール