〔学院情報〕
学院 卒業生の活躍状況について
 


 当学院では開設以来平成23年3月までに、5つの学科を合わせて2,016名の卒業生を送りだしています。今回、それぞれの分野で活躍している卒業生にインタビューを行い、業務の内容や後輩へのメッセージをいただきましたのでご紹介します。本号では、言語聴覚学科と義肢装具学科について掲載します。



「卒業生訪問 先輩に突撃インタビュー」

学院 言語聴覚学科 教官 阿部 晶子

インタビューアー 2年 栁沼 朋子



  写真は総合南東北病院の病院玄関
  総合南東北病院(病院玄関)

 財団法人 脳神経疾患研究所附属 総合南東北病院(福島県郡山市)の神経心理学研究部門を訪問して参りました。脳神経疾患研究所は、脳疾患を対象とされ、予防、診断および治療の進歩を通じて、地域の方々の健康と公共の福祉に貢献されている施設です。
 学院の言語聴覚学科は、神経心理学研究部門科長の佐藤睦子先生をはじめとする言語聴覚士の先生方に、毎年臨床実習でご指導を頂いております。
 今回は、郡山出身であり、臨床実習で大変お世話になった2年生の栁沼(32期生)が2年先輩である佐藤 伊久生さん(30期生)に、お話を伺わせて頂きました。また、後輩へのメッセージも頂きましたので、ご紹介致します(阿部)。


Q1 病院での業務についてお話を聞かせてください。

A1 日々の業務は、検査をして、そこからその人に合った訓練を考えるという流れですね。あとは、業務が終われば勉強です。日々新しい手法を学んだり、自分でそれを創造していくことが必要です。まだまだ成長途中の業界だから、日々の学びは欠かせないです。
 あと、ここが急性期病院ということもあって、回復期病院へ転院する患者さんが多いので、患者さんが転院先でスムーズにリハビリを開始できるように、そちらへの報告書を書くという仕事もあります。嚥下に問題のある患者さんならば、どんな食形態であれば食べられるかなど、色々申し送りをする必要があります。
 私のいる神経心理学研究部門では、高次脳機能障害の患者さんが非常に多いです。脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、変性疾患など、色々な病気の方がいらっしゃいます。特に、脳腫瘍の患者さんなどはデリケートな状態にあるので、どうやって検査するか、どのような声かけをするかなど、気を遣っています。

Q2 仕事をする上で気を付けていることはありますか。

A2 言葉づかいに一番気を遣っています。一人の人として接することが基本だと考えています。患者さんは自分より年長の方が多く、目上の方です。敬意をもった言葉で接するべきだと思っています。あと、前向きなことばかけはするけれども、無責任な発言は避けます。例えば「大丈夫、よくなりますよ」よりは「本来の○○さんに近づけていきましょう」などの声かけの方が、患者さんに対して誠実なことばかけだと思います。

Q3 今後、仕事について目標や挑戦したいことはありますか?

A3 小さい目標としては、検査の延長のような訓練をするのではなくて、自然なコミュニケーションの中で訓練をすることです。STとしては裏に色々な意図があるとしても、患者さんにとってはあくまで自然な状況であってほしいです。患者さんは、自然な状況の中で自然にコミュニケーションをする、でもそれが実は訓練となっている、そんな臨床を実現したいです。そして、その訓練成績を定量化して、研究につなげられるようにしたいです。


Q4 後輩たちへのメッセージをお願いします。

A4 座学と臨床、臨床と研究の間には思った以上の距離があります。座学で学んだことを臨床に活かすには工夫がいります。同じように研究的なことを臨床でやるのにも工夫が必要です。臨床は、患者さんにとって無理がなく自然な場所でなくてはいけないので。勉強して、試行錯誤して、また勉強して、知識と臨床と研究を結びつけなくてはいけないと思っています。でもそのような努力の先に、患者さんの回復があり、患者さんと一緒に喜びを味わうことができます。みなさん、ぜひ頑張ってください。


 本日は、お忙しいところお答えいただきありがとうございました。今後とも、益々のご活躍を期待しております。
 

神経心理学部門の先生方 後列(左)佐藤 伊久生さん(30期生)、(右)森 隆志さん(22期生)、前列 臨床実習でお世話になっている言語聴覚士の方々
、(左)赤坂 理恵子先生、(右)村上 沙織先生   写真 左はインタビューアー 栁沼さん、右は佐藤 睦子先生
神経心理学部門の先生方
後列(左)佐藤 伊久生さん(30期生)、(右)森 隆志さん(22期生)
前列 臨床実習でお世話になっている言語聴覚士の方々
(左)赤坂 理恵子先生、(右)村上 沙織先生
  (左) インタビューアー 栁沼、(右) 佐藤 睦子先生

 インタビューを終えて
 今年は震災により、病院では様々な影響を受けているのではないかと思いましたが、科長である佐藤睦子先生の「平常心で」という力強い指導の下で、しっかりと活躍している卒業生の姿が印象的でした。




「 卒業生の活躍状況について 」

学院 義肢装具学科教官 根岸和倫


  写真は福岡義肢製作所
   

 今回は当学科の卒業生である 福岡義肢製作所 安達征樹さんにお話をうかがいました。
 安達さんは平成17年3月に国リハセンター学院義肢装具学科を卒業し、現在、埼玉県ふじみ野市にある福岡義肢製作所に勤務されています。福岡義肢製作所はふじみ野市内唯一の義肢製作所で、4名の従業員は皆さん義肢装具士の国家資格をもっており、義肢と装具の全般に幅広く対応しています。


Q1 福岡義肢製作所での業務についてお話を聞かせてください。

A1 仕事の内容は、病院や施設に行き、患者さんの義肢や装具を作るために採寸・採型をし、その後、採寸・採型したモデルをもとに会社内で義肢装具の製作をしています。
 勤務当初は製作技術が未熟なこともあり、会社内で上司や先輩方から細かく丁寧に指導を受けながら主に仕上げを担当していました。また、使い込まれた義足や装具の修理を担当する機会もあり、それらを通じて学校では学ぶことのない臨床に直結した義肢装具の構造や製作技術も覚えていきました。
 現在では私も病院に行き、患者さんの義肢装具を製作するために採寸・採型をして、会社に戻って製作、そして完成品を病院で納品するようになりました。

Q2 現在の会社に就職を決めた理由は?

A2 福岡義肢製作所に就職した理由は、義肢装具士が患者さんにお渡しする義肢装具を採寸・採型〜製作〜納品までの始めから終わりまでを担当できる会社だったからです。

  写真は義足を製作している様子
  義足を製作している様子

Q3 仕事を進める上で気をつけている点を教えてください。

A3 仕事で心がけている点は、患者さんへの応対も義肢装具の製作も丁寧にしようと気をつけています。ひとりひとりの患者さんに合わせることには苦労しますが、ひとつひとつの積み重ねが自分の糧になっています。

Q4 当センター義肢装具学科を志望した理由は?

A4 国リハセンター学院義肢装具学科を志望した理由は、人と関わりながらモノ作りのできる仕事に就きたいと考えていたからです。義肢装具学科は定員10名と少人数で学ぶことができ、環境がとても充実しているので受験しました。また、寮があることや学費が安いことも大きな理由でした。

Q5 後輩達にメッセージをお願いします。

A5 義肢装具学科の後輩たちには、長いようで短い3年間を大事にしてほしいと思います。今、見ているものや聞いていることがあとになって大きな力になります。
 義肢装具士を目指す方にとって国リハセンター学院義肢装具学科は、集中して勉強に打ち込める環境が整っています。国リハセンター内にあるPO棟でいろいろな経歴をもった同期たちと充実した学院生活を送れると思います。