〔学院情報〕
平成23年度
学院オープンキャンパス開催報告
学院事務室


 当学院は毎年2回、学院養成研修棟及び義肢装具士養成棟において「オープンキャンパス」を開催しています。オープンキャンパスは、当学院の受験を希望される皆さんに、授業の内容紹介や在学生との対話を通して、学院についての理解を深めていただくためのイベントです。今年度は第1回を7月30日(土)(参加者数116名)、第2回を11月5日(土)(参加者数141名)に行いました。今回は第2回目の様子をご報告します。

 参加された皆さんには、それぞれの学科が目指すリハビリテーション専門職の業務内容や当学院の雰囲気等を体験していただいたわけですが、来年度の進学を検討する際にこの体験を役立てていただければ幸いです。

言語聴覚学科


 言語聴覚学科では、70名の参加者を迎え、4階と6階フロアーを使ってオープンキャンパスが行われました。4階フロアでは「公開授業」と「体験コーナー」、6階フロアでは学院生との「交流コーナー」が設けられました。

 一年生の公開授業「失語症の言語治療」では、映像を駆使した授業展開に参加者も熱心に学ぶ姿が見られました。二年生は「体験コーナー」や「交流コーナー」で参加者らと活発に交流を行いました。「体験コーナー」では、聴力検査を受けてみる"きこえはどれくらい"、音声の波形を調べる"発音を目で見てみよう"、発声が困難な方のための"意思伝達装置を試そう"、嚥下障害者用の"とろみ食を試してみよう"のコーナーが設けられ、二年生はこれまでに学んだ知識や実習で培った技術を発揮し、障害のメカニズムや検査・評価・装置などについて、わかりやすく、楽しく解説し、参加者の知的好奇心に応えていました。

 交流コーナーには言語聴覚学科で使用されているテキストや検査用具、カリキュラム表、学生の統計(出身地、睡眠時間、入試勉強法 etc.)などの展示や、学生の自主製作DVDが上映されました。映像では講義・実習の様子、寮生活などが賑やかなBGMと共に紹介され、楽しさと大変さ(!?)がよく伝わったことと思います。6階の「交流コーナー」では真剣に受験や学生生活、就職状況について二年生と相談する参加者が多く、順番待ちも出るほどでした。言語聴覚士を目指す方にとっては、仕事や学院生活、受験準備についてとても具体化した一日となったことでしょう。また、在校生にとっても自分達の夢や学びを再確認することができた貴重な一日となりました。

写真 「とろみ食を試してみよう」のコーナー

"とろみ食を試してみよう"のコーナー



義肢装具学科


   義肢装具学科には高校生から社会人まで多くの方が参加され、説明や実習のデモンストレーションに真剣に臨んでおられました。38名の参加者と付き添いの方々で、狭いPO棟は賑やかなひとときとなりました。

 学院で行う授業内容や義肢装具士の業務形態と内容などの説明を行った後に、卒業後に行う実際の業務内容を知って頂く目的で,次のイベントコーナーを設けて自由に見学して頂きました。

プラスチック短下肢装具製作のデモンストレーション
自分の指のギプス採型
模擬義足による歩行体験
模擬義手の操作体験
歩行中の足底圧や腕の筋電計測

 これらはどれも一般的ではないものなので、初めて見る、あるいは体験するものと思われ、例えば義足を用いた歩行の不安定さや義手でものをつかむことの難しさに驚きを隠せない様子でした。またその間にイベントを手伝ってくれた在学生といろいろな話が弾んでおりました。

 以上を通じて、義肢装具学科を志願する方にとって将来的な職業としての義肢装具士、それになるために学院で学ぶこと、そして実際に学ぶ学院の様子などをご理解頂けたと思います。

写真 模擬義足による歩行体験

模擬義足による歩行体験



視覚障害学科


 今回のオープンキャンパスにおける当学科への事前申込者は5名で、全員参加されました。決して多い人数とは言えませんが、参加者は全員熱心でした。参加者の中に岩手県内の公共職業安定所で嘱託職員をしている方がおられました。視覚障害者のパソコンボランティアをしているそうで、東北には専門職がほとんどいないので、訓練士になって地元の役に立ちたいと語っておれらました。

 今回用意した課題はクッキー作り、音声パソコン操作、白杖歩行体験の3つで、どれもアイマスクを使用した全盲の体験です。参加者全員どのプログラムにも熱心で、後で食べられる楽しみのあるクッキー作り、タッチタイピングのおぼつかないパソコン操作、そして恐らく生まれて初めての体験だと思われる白杖で長い廊下、スロープ、階段を歩くことも、最後までアイマスクを外すことなく取り組まれていました。

 当学科にとっては、オープンキャンパス冒頭に行われる参加者全体を対象にした学科説明の時間が大変貴重です。そのPR効果が功を奏し、他学科のプログラムに参加された後で8名が当学科のフロアを訪れました。時間のゆとりがなかった1名の方を除き、残り全員が暗くなるまで大変熱心にプログラムに参加され、補助に当たった学生達に様々な質問を投げかけていました。

写真 白杖を使用した歩行体験

白杖を使用した歩行体験



手話通訳学科


 手話通訳学科では20分程度の学科説明と質疑応答の後、参加者に「体験授業」として、入学の暁には入学式の翌日から毎日受講することとなる「ネイティブの教官が手話だけで手話を教える授業」を体験してもらいました。参加者の名前や性別、服の色、数字などの語と、基本的な質問文とそれに対する応答文を導入し、それらを使って手話での会話を楽しみました。日本語禁止の無音の教室に、時々楽しげな笑い声が響き、終始なごやかな雰囲気でした。

 参加者の数が多かったため、手話学習経験のまったくない方を優先するという形をとりましたが、手話という言語の魅力、そして新しい言語を学ぶ喜びをほんの少しでも体験していただけたのではないでしょうか。体験授業終了後には、5階フロアの各教室を見学した後、在校生作成の「パネル展示」とともに、在校生と参加者が自由に交流する時間を設けました。在校生の生の声は、入学を考える参加者にとっては教官の説明以上に参考になることが多いに違いありません。こちらも、楽しそうな笑い声が絶えませんでした。今回のオープンキャンパスが、参加者の方々にとって手話という新しい世界への入口となることを期待しています。

写真 パネル展示コーナーで熱心に説明を聞く参加者

パネル展示コーナーで熱心に説明を聞く参加者



リハビリテーション体育学科


 リハビリテーション体育学科では、障害者が楽しめるスポーツに関連する体験を通して当学科の理解を深めてもらえるようなプラグラムを準備しました。

 障害者スポーツの体験では、見るのとするのとでは大きな違いがあったようで、最初は悪戦苦闘していました。しかし、"できなかった"動きが"できる"へと変化することで楽しさが引き出されることが実感できると、「もう一度やってみたい」「もう少し上手くできないか?」と何度も挑戦する参加者もいました。また、ルールを少し工夫することで障害者が楽しめる種目になることも体験してもらいました。

 在校生との交流では、実際の学院生活の雰囲気を感じることができたようで、予定の時間を延長するほど会話が弾んでいました。

 今回のオープンキャンパスでは、障害のある方がスポーツを行う目的や必要性について理解を深めてもらう良い機会になったのではないかと思います。

写真 車椅子バスケットボール:ボールのピックアップ

車椅子バスケットボール:ボールのピックアップ