〔巻頭言〕

平成24年 年頭のご挨拶

総長 江藤文夫


 新年明けましておめでとうございます。
 年頭にあたり、皆さんのご健康と本年のお幸せを願い、謹んでご挨拶を申し上げます。

 私たちの国立障害者リハビリテーションセンター(国リハ)が活動を開始して以来33年間の社会的な変化は目覚ましいものです。通信手段として急速に普及したファクシミリ(FAX)に代わって、電子メールやインターネットといった情報技術が実用化され、コンピュータを介した様々な機器の普及は、社会や人間交際のありように多大な影響を及ぼし始めています。

 国リハニュースは、私たちの活動に関する情報発信の媒体として、毎月発行してまいりました。一方で、近年はインターネットを介してホームページを開設し、情報の中身の充実に努めております。国リハニュースについてもホームページにアクセスして過去の紙面を見ることが可能です。そこで、今年から国リハニュースについては季刊誌とすることとして、活動などについては随時ホームページに掲載することとしました。ホームページへのアクセスとともに、本誌についても引き続きご愛読くださるよう、よろしくお願いいたします。

 情報技術だけでなく、交通輸送機関の発達と普及による生活様式の変化、経済活動の国際化とともに人間交際の国際化も広がりつつあります。保健医療福祉の仕組みにおいても、それぞれ国による歴史的背景に加えて国際比較がなされ、国連の活動やWHOなど国際機関の活動により国際標準が形成されつつあるように感じます。1975年12月9日の国連総会で「障害者の権利宣言」が採択され、1981年の国際障害者年に引き続く活動の成果の一つとして、2002年に採択された琵琶湖ミレニアム・フレームワークはアジア太平洋地域諸国の障害に関する取り組みの指針とされました。

 我が国の障害施策も措置から契約へ、そして利用者中心の個別のアセスメントに基づく個別のサービス計画と提供を目指すようになりました。この間に国リハの在り方についても、さまざまな視点から見直しがなされました。そして、身体障害だけでなく障害全般を対象として、障害者の自立および社会参加の支援のため、先進的なリハビリテーション医療や福祉サービスの提供、支援技術の研究開発、専門職員の人材育成を担い、障害者リハビリテーションの中核機関として、科学的根拠に基づく医療・福祉施策の向上に貢献することを使命として掲げ、中期目標を策定しました。

 中期目標の期間は平成22年4月から27年3月までの5年間であり、今年4月からはその中間年にあたります。中期目標で掲げた活動に関する事項の大項目は、サービス等業務の質の向上(国立更生援護機関一元化への対応、を含む)、業務運営の効率化、財務内容の改善、その他の業務運営(今後の施設整備計画、を含む)であり、中期目標に沿ってセンターの組織再編も進められてきました。自立支援局の新たな仲間に加わった秩父学園については、企画経営本部の下に連絡検討会議を設置して、当面の検討課題である法施行対応、医療、養成・研修についての検討チームによりそれぞれ検討していただき、その他の検討事項については秩父学園内で取りまとめていただいています。本来の児童福祉施設としての機能が整備され、新たな活動の展開がなされることを期待しています。

 施設の整備工事については、現在まで順調に進んでおり、予定通りに進めば夏前には本館と講堂が完成し、移転ということになります。引き続き病院等の建設工事が始まりますので、工事が安全に円滑に進むよう配慮してまいります。

 本年の国リハの更なる発展のため関係者各位の一層のご協力をお願い申し上げます。