〔特集:平成24年度運営方針A〕
高次脳機能障害支援普及事業及び関連事業について
学院長 中島 八十一


 高次脳機能障害のある方々への支援は全都道府県に支援拠点機関が設置されたことを受けて、 全国どこでも同じような医療・福祉サービスを利用できるよう、 施策の均てん化を強く意識する段階に入りました。これまで通りに年2回の支援拠点機関等連絡協議会、 支援コーディネーター全国会議等の開催、研修事業を含む普及啓発活動を行うことにより、 生活する地域でサービス利用が可能になるよう一層の工夫が求められます。 これは都道府県ごとの違いだけでなく、ひとつの自治体の中での不便な地域の解消も視野に入ります。
 そのために国リハに高次脳機能障害情報・支援センターが平成23年10月に設置され、 平成24年度からの本格運用を開始します。この情報・支援センターでは、高次脳機能障害について、 一般国民にはわかりやすく、医療従事者には専門的に、ホームページを通じて解説します。 そればかりでなく高次脳機能障害支援普及事業の運用面で中核的な役割を果たすために国リハの経験を凝集することになっています。
 また、これまでの施策を通じてなお課題が残されている分野について、 積極的に課題解決に取り組みます。代表的な事項として、 小学生から高校生にいたるまでの年齢層での就学が挙げられます。 この年齢層での社会参加とは学校に戻ることに他なりません。まずこれを研究課題として取り上げ 、教育関連機関と連携しながら、支援拠点機関を相談に訪れた子供をどのようにしたら 学校に結び付けることができるのか検討します。 その道筋が整備されれば高次脳機能障害支援普及事業は広いライフステージにある障害者(児)に対応可能な事業になると考えられます。
 さらに年齢での広がりばかりでなく、 種々の障害程度にある高次脳機能障害者に対応できる事業展開を図ります。 これまでに一般就労可能な方々については関係諸機関の協力を得て 地域ごとにそれを達成するための道筋は本当に良く整備されてきました。 ここで福祉就労レベルの高次脳機能障害者の居場所の充実を図ることは障害程度を広く設定するばかりでなく、 都市部から離れた場所あるいは島嶼など自治体の中にあるサービス利用のために不便な地域の解消にもつながります。
 これらの課題解決は国リハの各部門の協力があって初めて可能になることであり、これまでに引き続き皆様のご助力をお願いするところです。

図 高次脳機能障害情報・支援センターのホームページ
高次脳機能障害情報・支援センターのホームページ