〔特集:平成24年度運営方針A〕
発達障害関連事業
病院臨床研究開発部長・研究所発達障害情報・支援センター長
深津 玲子


 国リハでは24年度発達障害児・者支援に関連して、4件の事業を行います。 これらの事業は研究所発達障害情報・支援センター、 自立支援局理療教育・就労支援部、秩父学園および病院等が部門間連携を行い実行していきます。

1.発達障害者就労支援普及・定着化事業
 平成22年12月公布された「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律」において 発達障害が障害者自立支援法の対象として明確に位置づけられ、 今後同法下の福祉サービスを利用する機会は増加します。 国リハでは20年度より3年間実施した「青年期発達障害者の地域生活移行への就労支援に関するモデル事業」 において、青年期発達障害者の就労支援のための地域モデルを構築し、 障害福祉サービス事業である就労移行支援と就労に向けて必要な生活面への支援を行い、 同事業の対象者および支援手法について検討しました。この知見を活かし、 24年度より自立支援局にて発達障害者就労支援普及・定着化事業を開始します。
 (1)自立支援局において発達障害者に対する就労移行支援事業を開始するにあたり、 病院発達障害診療室と連携しながら、診断から障害福祉サービスに係る情報提供、 就労移行支援事業のガイダンスに至る総合的な相談機能のあり方について検討し、具体化を図る。
 (2)モデル事業において開発した、生活面への支援も含めた就労移行支援プログラムを実施し充実を図る。
 (3)モデル事業および本事業における就労移行支援の取り組みについて、 学会や研究大会などで発表を行うとともに、発達障害情報・支援センターと連携して情報発信を行う。

2.発達障害児及び家族包括支援事業(家族短期入所事業)
 秩父学園はこれまで重度知的障害児施設として培ってきた知見を活かし、 24年4月の改正児童福祉法の施行や発達障害等の現下の政策課題に適切に応えるべく必要な取り組みを進め、全国への発進力を高めていきます。 24年度より発達障害児及び家族包括支援事業を創設し、発達障害巡回支援専門員整備事業や発達障害者支援センター、児童相談所等から、専門的な支援の必要と判断する発達障害児とその家族を短期入所させ、早期支援、ペアレントトレーニング、きょうだい支援等の包括的な支援を実施します。

3.発達障害児及び家族の地域生活支援モデル事業
 秩父学園は24年度より発達障害児及び家族包括支援事業やアウトリーチ活動等の実践による支援を通じた支援プログラムの開発や、 発達障害児支援に関する関係機関との連絡調整の仕組みづくり等を整備し、全国へモデルを発信していきます。

4.災害時における発達障害児・者支援の充実
 発達障害情報・支援センターは東日本大震災の被災地 3県(岩手、宮城、福島)および厚労省地域移行・障害児支援室と協力し、 被災地において発達障害児・者の必要なニーズを調査中です。 平成24年度は被災地3県より調査データを収集し、分析を行い、災害時の発達障害児・者支援マニュアルを作成します。