〔巻頭言〕

新年の挨拶

総長 中村耕三


 あけましておめでとうございます。今年は、西高東低の冬型の気圧配置がはっきりして、日本海側では例年以上に大雪に見舞われ、関東も冬晴れでしたが寒さのきびしいお正月でした。
皆様には、良いお年をお迎えのことと思います。
 昨年を振り返りますと、風水害など心痛むことがありました。一方、ノーベル物理学賞の受賞や、「富岡製糸場」の世界文化遺産登録、オリンピック・パラリンピックでの日本選手の活躍など、明るいこころ踊るようなニュースもありました。
 障害の分野では、我が国は障害者権利条約を批准し、障害のある人々の権利の実現に向け一層取り組むことを世界に約束した大きな一年でした。
 暮れには衆議院選挙が行われました。争点となりましたのは、経済政策でした。選挙戦では、GDPが二期連続マイナスであることや就業者数が増加していること、あるいは企業の倒産件数が低水準である、といった様々な具体的な根拠、指数が、経済状況を説明するために使用されました。
 経済の状況には様々な側面があることから、状況を表すには様々な指標や根拠が必要であること、そして、人々に状況を説明するには、具体的な根拠をもって説明する必要があることがよく理解できました。
 当センターは、国立の施設として、障害者リハビリテーションに関わる多方面の事業を実施しています。例えば、新しい分野の障害のある方の就労支援、障害のある方の健康管理の支援等にも努めています。また、直接的な支援の他、支援に携わる人の育成や研究も実施しています。
これら様々な障害に関する情報や成果を広く社会に発信し、説明していく必要があります。それは、障害のある人の状況や必要な支援について、社会の多くの人が知ることが障害のある人の福祉向上には欠かせないからです。そしてその説明には具体的な根拠が必要です。
 今年の3月に現行の5年間の第一期中期目標が終了します。現在、その総括と4月からの新しい第二期中期目標策定の準備をしております。
新しい目標は、自立支援局、病院、研究所、学院が連携しているという当センターの強みを生かして事業に取り組むこと、その成果や状況を広く情報発信していくことです。情報の発信のためには、それぞれの事業について、具体的に成果をまとめていくことが必須となります。
 これを実現するための具体的な方策として、当センターが年度毎に策定する運営方針と各人の業績目標の仕組みを、より具体的に連動させることをお願いしたいと思います。
 国立障害者リハビリテーションセンターには、年間に海外からの来訪者350人を含む4500人が見学に訪れます。これは、当センターの活動が、日本という国がどのように障害のある人に向きあっているかを映し出す鏡の役割を果たしているからです。
 また、自立支援局には年に2500件の相談件数があり、病院医療福祉相談には年14000件の相談があります。これも当センターに大きな期待がよせられている証でしょう。
 今年を、皆様とともに一丸となって、素晴らしい1年にできると思っています。
 本年もどうぞよろしくお願いいたします。