〔トピックス〕
学院研修事業の新たな取組
学院

 学院が開催する研修事業は、昭和54年当センター開設当時は補装具適合判定医師研修会をはじめ6研修会でスタートしている。その後、多様化する社会のニーズや障害福祉の制度改正が行われるなかで新たな研修会の開催や更なる内容の充実に努めてきた。
 また、平成23年に脳卒中リハビリテーション看護認定看護師教育課程を開設、平成24年には自立支援局秩父学園が実施していた知的障害・発達障害関係研修を学院に統合し、今年は33研修会(37回開催)を予定している。
 我が国の障害福祉の充実を図るため、国の機関である当学院がこれらに携わる専門職に対して、当センターが蓄積しているノウハウを最大限活かし、受講生のニーズを踏まえて効果的・効率的な研修会の開催に取組んでいる。その一端をご紹介する。

①ニーズを踏まえた創意工夫
  • より実践的な技術の習得、他地域における現状の情報収集、受講者間のネットワークの構築などを目的として事例検討・意見交換等のためのグループワーク等の演習を確保
  • 障害当事者あるいはご家族の苦労やニーズに寄り添っていただくため被支援者ではなく対等な立場として障害当事者やご家族のお話いただく場の確保
  • 医療・福祉以外の分野の機関(府中刑務所、警察庁科学警察研究所等)から関係講師を招聘し、違った角度からのアプローチによる新たな知見の取得
  • 当センターの専門職が培っている知識・技術を研修会を通じて全国に発信

②受講生の利便性に配慮した運営
  • 研修受講者の負担軽減と利便性に配慮したプログラムの設定
  • 学院までのアクセスマップや周辺のランチガイド等きめ細かい情報を受講者に提供
  • 受講申込時の所属長又は都道府県等所管部局長等の推薦書提出を省略
  • 子育て中の受講生のニーズに応えて、研修会受講期間中に当センター内保育園の利用が可能
③研修事務業務の省力化・効率化
  • インターネット経由による研修申込、受講決定通知を電子メールにより連絡
  • 研修会開催時の機器操作、進行等の業務を外部業者へ委託
 平成23年10月から脳卒中リハビリテーション看護認定看護師教育課程を開講した。当教育課程は、日本看護協会から「脳卒中リハビリテーション看護」認定看護師教育機関として認定を受け、当初研修期間は6ヶ月であったが教育及び実習の充実を図るため25年から7ヶ月間に延長している。
 本教育課程は、日本看護協会、日本リハビリテーション看護学会及び埼玉県看護協会との密接な連携協力により運営が行われている。特に埼玉県看護協会においては、講師派遣・紹介、実習施設の受入協力により埼玉県内の医療機関、訪問看護ステーション等との協力関係により運営されている。
 また、実習においては、急性期・回復期の経過別に行うことでその特徴を押さえた実習を行っている。多くの実習は病院という治療中心の場の看護が主であり、在宅での生活の視点は弱い傾向にあった。このため平成26年の実習では病院実習に行く前に維持期の見学研修を行い在宅で脳卒中後遺症を持つ療養者の生活に触れることにより、急性期・回復期の実習において生活の視点が生かされるよう行われている。
 実習後の事例発表会では受け持った2事例について、教育課程内外の関係する方を前に発表することで討議・議論し、自分の考えを掘り下げていく。主体的に課題に対する回答をまとめる学習の機会となり、自分の論証を訓練する場となっている。
 さらに、研修生確保のため、入学試験を従来年1回の実施であったが平成27年から2回実施(1月・5月)に回数を増やしている。
 以上、研修会、教育課程の取り組みの一端を紹介しました。障害を持っている方が地域社会で生活していくために必要とするサービスや支援の質の向上を目指し、国の機関としての役割を発揮するためカリキュラムの工夫・充実を図り、更なる改善に努めてまいります。