〔巻頭言〕

新年の挨拶

総長 中村 耕三


 あけましておめでとうございます。今年の冬は長期的には暖冬との予想ですが、正月休み期間中には、朝晩の寒さの厳しい日がありました。
皆様には、良いお年をお迎えのことと思います。
 さて、昨年は、センターにとりまして、重要な節目の年でした。それは、平成27年度からの第二期中期目標の初年度であったということです。第二期中期目標として掲げた点は、国立の機関として、障害における多様な支援ニーズに応えるため先導的、総合的な展開を図ること、政策的課題に取り組むこと、そして、これらの取組の実際や成果を広く公表していくことです。
社会に公表することは、成果を社会に還元するだけでなく、障害のある人のニーズが社会に伝わり、共生社会の実現につながります。
 昨年は大臣や長官など政府の重要な方の視察が相次ぎました。9月には塩崎恭久厚生労働大臣が、11月には鈴木大地スポーツ庁長官、12月には竹内譲厚生労働副大臣、そして、国の医療研究を統括する日本医療研究開発機構の末松誠理事長が視察にお見えになりました。国リハの事業活動をお示しできる良い機会でした。
 脊髄損傷、視力障害、言語聴覚障害、高次脳機能障害、発達障害、切断などの障害のある人に対する、医療ケアや生活自立・就労のための訓練、周辺環境の整備、情報の提供等を、看護、理学療法、作業療法、言語療法、臨床心理、栄養指導、リハビリテーション体育、ロービジョン訓練、自動車訓練、相談支援や就労支援、国際協力などでの取組みを通して実施していることを、出来るだけ数字を添えてお話致しました。
一連の視察を通じて、国リハに対する関心が大変に高いこと、国リハの取り組む事業が総合的で先駆的であること、そして説明には具体性と数字が重要であることを改めて実感いたしました。
 第二期中期目標のもう一つのポイントは、目標を実現するためにPDCAサイクルの仕組みを導入したことです。そこでは、5年間の中期目標、年度毎の運営方針、組織目標と職員の業績目標の関連を重視することです。昨年は7月に第一回目のチェックを行い組織目標の立て方、評価の方法や成果物の確認、公表の可能性等で課題が明らかになった点は、PDCAサイクルとして、それらを修正し、12月に第二回目のチェックを行いました。
 その結果は、3月の運営委員会に向けて現在整理中ですが、約300の組織目標に対して約半数で成果物として示すことが出来、約1/4で数値を入れた評価が行われ、1/6が結果の公表へ向けての努力がされております。今後一層の努力が必要でありますが中期目標初年度として、期待できる方向に向かっていることを感じております。このことは12月の国リハ業績発表会においても、91題というこれまでの最高のエントリー数や、内容として業務のデータ化への取り組みやその分析の発表が多くあったことにも現われていました。
 今年は、27年度の成果の取りまとめを行い、28年度の運営方針を定めます。そして、中期目標の実現に向け、PDCAサイクルの仕組みをしっかりした軌道にのせる大切な年になります。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。