〔特集〕
補装具完成用部品指定申請事前審査
研究所(義肢装具技術研究部,福祉機器開発部,障害福祉研究部)

 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)の中で補装具として定められている種目は、義肢、装具、座位保持装置、盲人安全つえ、義眼、眼鏡、補聴器、車椅子、電動車椅子、座位保持椅子、立位保持具、歩行器、頭部保持具、排便補助具、歩行補助つえ、重度障害者用意思伝達装置の十六種です。購入又は修理に要する費用の額の算定等には基準が設けられており、特に義肢、装具、座位保持装置に関しては、製作時に使用される4,000点におよぶ部品が「補装具の種目、購入又は修理に要する費用の額の算定等に関する基準に係る完成用部品(以下完成用部品と記す)」として指定されています。この中から、使用する方の個々の障害や能力、補装具の使用目的に合わせ部品を選択し、組み合わせて使用します。
 完成用部品の一覧は厚生労働省から公表されています。この一覧表に部品が掲載されるには、完成用部品取扱い事業者が厚生労働省に必要書類を揃えてし、厚生労働省内に設けられた「補装具評価検討会」で審査を受けて安全に使えることが認可される必要があります。申請件数を見ると、近年では平成24年度740件、平成25年度488件、平成26年度698件と、毎年多くの部品が審査の対象となっています。一連の審査の中で、国立障害者リハビリテーションセンターは申請書類の確認や申請部品情報の整理などの事前審査を担当しています。担当者は、義肢・装具・座位保持装置の各専門家により構成され、申請された完成用部品が決められた条件を満たしているか臨床的、工学的、経済的視点から一つ一つ確認し、「補装具評価検討会」での検討資料を作成しています。
 その他に、①部品に関する必要な情報が分かり易く記入できるよう、申請様式の見直しを提案、②申請する側と申請を受け付ける側それぞれの資料作成にかかる負担を減らすため、提出資料の電子化の推進、③完成用部品申請事業者に対して申請書類の書き方や部品審査のための必要条件について説明を行う窓口、などの活動も行なっており、申請から認可、一覧に掲載されるまでの円滑な流れが保たれるよう、「補装具評価検討会」をサポートしています。
義肢・装具・座位保持装置完成用部品の審査の流れ