〔巻頭言〕

国リハのより良い運営を目指して

管理部長 黒岩 嘉弘


 この度、平成28年4月1日付を持ちまして、国立障害者リハビリテーションセンター管理部長に就任しました黒岩嘉弘と申します。これからよろしくお願いいたします。
 私は、昭和58年4月に、ここ国立身体障害者リハビリテーションセンターに会計課職員として採用され、2年間勤務しておりました。その後は、厚生労働省で障害者福祉や介護保険などの仕事に携わって参りました。当時リハセンターの建物は、新築でしたが、見渡す限り野原で、殺風景でありました。職員みんなで、桜、ケヤキ、ハナミズキやツツジなどの植林をしたことなどを思い出します。リハセンターは、昭和54年の開設以来、36年間の長期にわたり、障害者の皆さんの社会復帰を支え続け、わが国の障害者リハビリテーションの中核として発展してきた歴史ある施設であります。このリハセンターにおいて、再度お仕事ができることに喜びを噛みしめております。
 ところで、私は、約10年前に椎間板ヘルニアになってしまいました。寝返りも打てず、動けなくなってしまいました。いわゆる寝たきり状態で、もちろん座ることもできないため、尿瓶や差し込み式の便器などを使い、療養生活を過ごしました。車いすや歩行器なども使用してトイレに通ったことを思い出します。病気になったことで、体が自由に動かせなくなり、障害者の皆さんが生活する上で、大変なご苦労をされている状態の一端を体験したわけであります。
当時は、このまま歩けなくなるのではないかとの不安で、毎日いらいらしていたことを思い出します。幸いにして一月ほどたつと、徐々に回復していったのですが、歩行訓練を始めた時には、痛みと、じっとしていて筋肉が弱っていたこともあり、10メートルを30分ほどかけて、手すりにつかまりながら、やっとの思いで歩きました。その時は、疲労感とともに、歩くことができたという喜びを噛みしめたことを覚えています。
 先日、リハセンターの職員を対象とした、入院患者の方々へのサービスを向上するための研修会に参加させていただきました。患者さんに寄り添ったサービスを行う目的で、病院職員を中心として開かれている研修会です。今回は、電動車いすに乗ってみるという研修でした。初めての体験で、前進するためのコントロールバーを倒すと、驚くほど勢いよく前に進み「どうやって止まるの。ブレーキは?」と叫んでいました。また、右へ曲がろうとレバーを倒すとくるりと一回転。なかなかうまくいかず、しばらく四苦八苦でしたが、何とかコツがつかめ、後半では、目的の場所まで進むことができるようになりました。
 電動車いすに乗ってみて、重度な障害を持つ皆さんにとっては、必要不可欠なものであることを実感しました。当センターでは、治療、機能訓練、生活訓練や就労移行支援など様々なご支援を行っております。我々職員も皆様の気持ちを少しでも理解しながら、皆さんが社会復帰に向けた訓練生活を快適に送れるよう運営していきますのでよろしくお願いいたします。