〔特集〕
学院における養成・研修の取組と卒業生・修了生の活躍

リハビリテーション体育とは?
教育内容について
 障害のある人に安全で効果的な運動を提供するためには、個人のニーズをはじめ障害特性や身体状況を分析し、性格などを見極めてプログラミングすることが重要になります。その上で楽しさや取り組みやすさ、続けやすさを考慮した種目を開発し、障害のある人一人ひとりに応じた健康づくりの支援を行う専門職員を養成しているのが「リハビリテーション体育学科」です。
 指導・支援をする道具として「体育・スポーツ」がもつ特性と力を利用していますが、対象とする障害は限定していません。加えて、子供から高齢者までと年齢の幅も広く、実施する場面も学校からリハビリテーションセンター、施設、地域社会と広範囲です。
 広範囲であるがゆえに、なかなか実態をご理解いただきづらいですが、全ての障害・年齢・指導場面に適応できると言え、卒業生は様々な就職先で活躍をしています。
 近年、生活習慣病予防やアダプテッドスポーツの支援など、障害のある人の健康増進にかかわる運動・スポーツのニーズは多様化・高度化してきています。
 障害のある人の健康増進に向けたスポーツ・運動処方については、なお十分に普及しているとは言い難いのが現状です。こうした支援についての必要性は認められてはいるものの、そのニーズに応える運動指導の専門家を養成する機関は当学科だけです。
カリキュラムは1年次に「運動・スポーツ」「医学」「福祉」などの基礎を学び、そこで習得した理論と知識・技術を基に2年次では実践が多く組み込まれています。当センターの特性を活かし、運動やスポーツを通して、個々の症例の回復から機能維持、健康管理、自己実現までシームレスに幅広く携わりながら学んでいます。
学科の特徴、学生生活や教官のこと、トピックス、エピソード
 日本パラリンピック委員会(Japanese Paralympic Committee:JPC)が実施している障害者スポーツ選手の競技力強化の事業として「フィジカルチェック」があります。8月末、当センター第一体育館にてブラインドサッカー選手を対象とした測定が実施されました。
 勉強させてもらえる良い機会なので、当学科の学生も参加してきました。
 測定項目には、学校で行われている新体力テスト(長座体前屈、握力、立ち幅跳び、20mシャトルランなど)を中心に、JPCで決められた内容を実施しますが、正確に、短時間で測定をするには経験が必要です。さすが、2年生は1年時から参加をしているので、1年生のお手本となっていました。
 一番苦労をしたのは20mシャトルランです。持久能力に対する測定で、合図音に合わせて20mの距離を往復して走ります。合図音は最初はゆっくりですが段々と速くなり、そのスピードについていけなくなると終了です。対象とする選手は視覚に障害があるので、音により折り返し地点を知らせる必要があります。学生は声を出しながら、走っていく方向や折り返し地点までの残りの距離、ターンをするタイミング等の情報を伝えていました。
卒業生の活躍状況
第18期生 山口 裕輝
画像:山口 裕輝さん
 2017年2月に合同会社アダプテッドスローを設立し、2017年7月から「リハビリテーション体育あだぷと」の事業所を運営しています(以前は高齢者の通所リハに携わっていた)。
 6歳〜18歳の就学児童・生徒(小学生・中学生・高校生)を対象に、学校の授業終了後や長期休暇中などに、社会能力の向上を目指した個別学習を実施しています。障害の有無を問わず、全ての人々が笑顔溢れる生活を送ることのできる社会を実現するために、体育やスポーツを通して心と身体を健康にするためのお手伝いをします!