〔特集〕
国立障害者リハビリテーションセンターの今後のあり方
に関する検討会について
 

 国リハの沿革及び現状
 昭和54年(1979年)、国立身体障害者リハビリテーションセンター(旧国リハ)が設置されました。当時、地方公共団体に設置されていたリハビリテーションセンターは10カ所にも満たず、旧国リハは「各種リハビリテーション施設のモデル」としての役割を大いに果たしました。
 その後、平成20年(2008年)に、「身体障害のみならず、すべての障害を視野に入れたセンターであるべき」という考えに基づき、国立障害者リハビリテーションセンター(国リハ)に名称を変更しました。以後、厚生労働省本省から発達障害情報センター(現発達障害情報・支援センター)が移管、健康増進センター(現障害者健康増進・運動医科学支援センター)や高次脳機能障害情報・支援センター、支援機器イノベーション情報・支援室が設置され、国リハは名実ともに障害全体を視野に入れたナショナルセンターとして事業を展開してきました。
 また、その役割は当初の「各種リハビリテーション施設のモデル」の提示から、障害全体を視野に入れた新たな課題への対応及び支援モデル等の普及啓発や均てん化のための情報支援へとシフトしつつあります。

 国リハを取り巻く状況
 一方で、地方公共団体においてはリハビリテーションセンターの設置、あるいは地域共生社会実現への施策は進みつつありますが、未だ地域によって障害福祉サービス給付に差はあり、また、国としても取り組まねばならない課題(高次脳機能障害、発達障害、吃音、多発外傷や再生医療リハビリテーション等)があります。
 高齢化が進み、高齢者においては地域での在宅生活を継続するための地域包括ケアシステムが浸透しつつあります。そのような中で、障害者の地域での自立と社会参加を促進していくために国リハは何をすべきなのか、検討する必要があります。
 平成18年(2006年)には障害者の権利に関する条約が国連で採択され、平成30年年3月に閣議決定された障害者基本計画(第4次)には同条約の実行のための施策が盛り込まれています。

 今後のあり方に関する検討会の開催
 こうした状況において、人口構造の変化や社会の進歩、科学技術の発展も踏まえたうえで国リハの今日的役割や次期中期目標策定に向けた事業運営の見直し等を行うため、有識者をお招きし、国リハの今後のあり方について検討を行いました。
 検討会は平成30年8月から12月まで計4回開催し、12月19日に「国立障害者リハビリテーションセンターの今後のあり方について(報告書)」がとりまとめられました。
 報告書の内容(抜粋)は次ページより掲載しますが、国リハは、有識者の意見に基づき作成された本報告書を踏まえて、今後も一層障害者のリハビリテーション、社会参加に貢献してまいります。