〔トピックス〕
国際セミナー開催報告
「リハビリテーションにおける多職種連携と人材育成」
企画・情報部 国際協力室

 当センターは障害の予防とリハビリテーションに関するWHO指定研究協力センターとしてWHOの活動方針の普及等を目的として、毎年国際セミナーを主催しています。
 今回、平成31年2月16日(土)に国際セミナーを開催したので、概要をご紹介します。
 WHOはリハビリテーションを保健医療の仕組みに位置づけ、必要とするすべての人々がサービスを受けられるようにするための取り組みを進めることとしており、その課題の一つに “多職種連携と人材育成“をあげています。
 今回セミナーでは、アジア太平洋地域におけるリハビリテーションに関わる人材育成の状況と課題をテーマとしました。

 WHO西太平洋地域事務局専門官(テクニカルリード)
ダリル バレット

 西太平洋地域においても、慢性疾患や障害をもつ人々が増える一方、医療・リハビリテーションの人材が不足している現状がある中、WHOは各国に対し、人材育成強化や保健医療システムにリハビリテーションを統合する事の重要性を示す活動等を行っている事を紹介しました。

 フィジー大学健康科学学校長
マリア ワロキ

 フィジーでは、CBR(地域に根差したリハビリテーション)が重要な役割を果たしていて、その従事者の育成が行われていることを紹介しました。一方、リハビリテーション従事者が働けるポジションが限定されているため、教育を受けても働く場がない現実があり、この仕事に魅力を感じる人が少ない事を問題点としてあげました。

 タイ マヒドン大学義肢装具士学科講師
佐々木 一彦

  マヒドン大学義肢装具士学科では、義肢装具士の国際教育・国際連携を推進している事を紹介しました。ヨーロッパ、中東、アフリカに遠隔教育を通じてレベルアップする取り組みを行い、義肢装具士の育成の水準を上げる活動をしていることを紹介しました。

 オーストラリア シドニー大学教授
ステファニー ショート

  広大な国土のため、地域により医療従事者に偏りがある事、リハビリテーションにおける多職種連携の人材を育成することが必要であると述べました。医療従事者教育の中にリハビリテーションに関する教育が十分に含まれていない、国としてのリハビリテーション戦略が確立していない事等を問題点としてあげました。

 日本 国際医療福祉大学 成田保健医療学部学部長
城間 将江

  国際医療福祉大学における関連職種連携教育における、専門的な知識や技術を持った医療・リハビリテーション従事者が関連職種連携について共通認識を持った学習の取り組みを紹介しました。

 日本 国立障害者リハビリテーションセンター学院長
深津 玲子

  指導的役割を担うことができるリハビリテーション専門職の育成を目的に行っている養成と研修について紹介し、障害がある人々のニーズを障害当事者とともにとらえ、新しい技術の開発や政策作りに重要な役割を果たせる専門職の育成も重要な使命であると述べました。

 最後にディスカッションとして、講演の中で述べられた内容について、講演者による意見交換、会場との質疑応答を行いました。

国際セミナープログラム
(平成31年2月16日開催)
開会挨拶
基調講演 “西太平洋地域のリハビリテーション人材に関するWHOの支援”
Darryl Barrett(ダリル バレット)
発表
1 “フィジーにおけるリハビリテーション人材育成とサービス”
Maria Buabeta Waloki(マリア ワロキ)
2 “マヒドン大学における義肢装具の国際教育と連携教育の取組み”
佐々木 一彦
3 “オーストラリアにおける多職種連携のリハビリテーションと医療従事者の人材育成の強化”
Stephanie Short(ステファニー ショート)
4 “国際医療福祉大学学部生における多職種連携教育の取り組み”
城間 将江
5 “国立障害者リハビリテーションセンター学院における障害者支援のための人材育成”
深津 玲子
ディスカッション・質疑応答
閉会挨拶