〔トピックス〕
日本義肢装具士協会論文賞 及び 日本義肢装具学会飯田賞奨励賞 受賞報告
研究所 義肢装具技術研究部

 この度、研究所義肢装具技術研究部の中村隆義肢装具士長は、公益財団法人日本義肢装具士協会学術誌の優れた論文に与えられる「第10回POアカデミージャーナル論文賞」と、一般社団法人日本義肢装具学会の学会賞である飯田賞奨励賞をそれぞれ受賞いたしましたので報告します。

1 日本義肢装具士協会論文賞

 「第10回POアカデミージャーナル論文賞」は中村義肢装具士長が執筆した原著論文「義肢装具材料としての熱溶解積層法3Dプリンタによる造形物の力学的特性」に対して与えられました。3Dプリンタは、近年新たな製造手法として注目されており、少量多品種の部品を必要とする義肢装具分野においても有効な手法と考えられています。この論文では3Dプリンタ造形物と既存材料の材料力学的性質の比較を行い、基礎的知見を得ただけでなく、実際に義肢装具の製作を行う義肢装具士の視点から解析を行なったことが評価されました。この論文は福祉機器開発部 硯川潤福祉機器開発室長、高嶋淳研究員、相川孝訓氏、千葉工業大学 庄司瞳氏との共著です。なお、当該論文は義肢装具技術研究部のホームページにあるWeb論文集「Atlas of Prosthetics & Orthotics in NRCD」にPDFを掲載しています。

2 日本義肢装具学会飯田賞奨励賞

 日本義肢装具学会の学会賞である「飯田賞」は、国立障害者リハビリテーションセンター初代研究所長 故飯田卯之吉先生が永年に亘り義肢装具の発展のために尽くされた業績を偲んで1981年に日本義肢装具学会に設けられ、義肢・装具・リハビリテーション工学の分野で優れた業績をあげた者に対し授けられる賞です。毎年本賞と奨励賞が学会選考委員会の審査を経て選出されます。今回の奨励賞の受賞理由として、臨床における困難症例の義手・義足製作はもとより、多肢切断者のADL・QOLの向上や社会復帰への取り組み、筋電義手普及への貢献、さらに臨床業務を基盤とした様々な研究課題への取り組みが挙げられました。また、学会理事、国家試験委員、及びセンター研修会講師などの社会貢献活動も評価されました。

 今回の二つの受賞に共通することは、義肢装具技術研究部の業務が多くの方々との協力により成り立っていることであり、義肢装具士の多方面での活動の成果が認められたことを大変うれしく思います。義肢装具技術研究部の業務は、センター職員のみならず、切断者をはじめとする義肢装具利用者との協働作業です。ここに深く感謝の意をお伝えします。

 



飯田賞奨励賞の盾
(「Ars longa, vita brevis」はヒポクラテスの言葉。「技術は長く、人生は短し」の意味)