日本版Functional Vision Screening Questionnaireを試作

令和5年10月
企画・情報部企画課(研究論文査読審査委員会事務局)

 この度、2023年(令和5年)10月10日に、当センター研究所 障害福祉研究部の齋藤崇志研究員らが執筆した論文を、NRCDレポートとしてJ-STAGE内で公開しました。
 本論文には、日本版Functional Vision Screening Questionnaireを試作した方法や、試作の際の工夫が記されています。例えば、現代の日本の社会や文化事情に合わせるために、直訳に留まらない翻訳を行ったことや、高齢者だけでなく幅広い年代に対応可能にさせるために、20代の方にも研究に参加していただいたことなどです。
 “Functional Vision Screening Questionnaire”(以降、FVSQ)とは、約30年前の米国で開発された質問紙で、視覚障害のある高齢者を特定して、適切な視覚関連サービスへのアクセスを促すことを目的としています1)。FVSQは、既にフランス語やタイ語に翻訳されており、FVSQを用いたタイでの研究によると、視覚障害のある方を約93%の感度(病気や障害のある方を正しく判別できる確率)と約75%の特異度(病気や障害のない方を正しく判別できる確率)で判別できたといいます2)
 日本版FVSQの確定版が作成されて医療や介護に導入されれば、眼科医や視能訓練士といった視覚障害の専門知識を持つ方でなくても、視覚障害のある方を特定できるようになる可能性があります。そうなれば、視覚障害のある方の視覚関連サービスへのアクセスがより容易になることが考えられます。
 今回作成されたものは日本版FVSQの試作版ですので、確定版を作成するためには今後の研究が必要となります。確定版を作成する研究を行うにあたって、試用版を作成した方法が詳細に記されている本論文は有用となるでしょう。

1)Horowitz, A.; Teresi, JA.; Cassels, LA. Development of a vision screening questionnaire for older people. J. Gerontol. Soc. Work. 1991, 17(3-4), 37-56.
2)Yingyong, P. Development and validation of the Thai risk screening questionnaire to screen the visual problem of the older adults in Thailand. J Public Hlth Dev. 2018, 16(3), 1-14.

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NRCDレポート
※NRCDレポートとは、当センター職員によって行われたリハビリテーションの進歩に寄与する研究活動についての論文等の公開を目的とした、当センターが不定期で発行するオンライン出版物です。