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 【障害者の安全で快適な生活の支援技術の開発】

   サブテーマ1:障害者の自己決定を支援する情報コミュニケーション技術の開発

1-3-(2) 養護学校における災害・避難訓練システムの開発と評価
(ヴァーチャル・リアリティ等を活用した災害非難訓練システム)

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なんのための研究?

養護学校における災害時の避難は重要であるにも関わらず大変難しい問題である。現状では、普通校と同様の避難訓練が年に数回実施されているが,体験したことのない火事や地震を想像できないこと,危険物(割れたガラス、炎、煙)に対する学習ができないことから,その効果に関しては未知数である.また,避難訓練に参加できない生徒がいることも問題である.災害時の危険に対する正しい理解,災害時にとるべき行動の理解,避難訓練への参加などが求められる.これに対し,本研究では,養護学校の協力の下,バーチャルリアリティ(VR)技術を用いた避難訓練システムの開発をおこなっている。

VRソフトウェアを用いて作成した校舎や肯定等のモデル

研究のポイントは?

災害時には自己決定を求められる場面も想定されることから,判断能力を養うための避難訓練システムを開発する.具体的には,中・軽度知的障害児を対象に,周囲状況や避難経路の判断能力を養うためのVR技術を利用した避難訓練システムを開発する.VR空間の試作は以下の手順によった。

  1. 建築用CADソフトウエアにより校舎図面を入力する。
  2. モデリングソフトウェアにて建築図面データを読み込み,テクスチャーなどの加工を施した上で,ガラス,机,椅子などの什器を加える.これらは地震シミュレーションに際して,アニメーション表現の対象となる。また、校舎のみならず,校庭,最寄の地下鉄駅からの経路風景も表現し,避難訓練に供する.作製したモデルはVRMLデータ形式にて出力する。
  3. VRソフトウェアにてVRMLデータを読み込み,地震,炎,煙,音などのエフェクト,校舎内のテクスチャを加え,臨場感のある避難訓練システムを構築する。
火災の発生を想定したVR訓練課題

実用に向けて

平成17年度に,開発した非難訓練システムの評価を養護学校生徒を対象に実施した.その結果,全被験者が本システムが養護学校を模したものであることを容易に認知し,訓練課題に意欲的に取り組むことがわかった.また,教職員に対しては,防災に対する意識を促進するとともに,防災マニュアルの見直しにむけた検討を進めることとなった.

今後の検討事項として、

  1. VR空間内の移動操作のための入力デバイスをより使いやすいものにする必要がある。
  2. より高い臨場感を演出するために,火災・地震モデルの導入,警告音などの導入が必要。
  3. 移動の際に指示を必要とする児童生徒が80%以上であり,VRモデル中に経路判断の手がかりを増やす
  4. VR酔いに対する安全性の確認
などがあげられる.また,新年度に実施される避難訓練においてシステムの有効性の検証も行う必要がある.

評価実験風景とVR空間の図
研究代表者:東京大学大学院 情報理工学系研究科 土肥健純 お茶の水女子大学 生活科学部 太田裕治
ホームページ:http://www.eng.ocha.ac.jp/biomedeng/index.html
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