はじめに

〜イノベーション for ノーマライゼーション〜

 

 我が国の障害者施策は、「ノーマライゼーション」の理念に則り、障害のある人もない人も、誰もが地域で安心・安全に、自立した生活を送ることができる社会(共生社会)の実現に向け、「障害者基本法」の改正、「障害者自立支援法」の施行等を重ね、弱者保護から自立支援へと大きく転換してきた。
 今後、超高齢化社会を迎えようとする我が国で、『イノベーション25』や『新健康フロンティア戦略』等を実効あるものにし、障害のある人が自らの人生を地域で豊かに暮らすためには、「人」の支援だけでなく、「生活支援技術及び機器」を積極的かつ効果的に活用することが求められている。また、介護負担の軽減や支援の効率化の視点から、介護等の支援者を支援する手段としても現実的かつ有効であると思われる。
 しかし、支援機器を必要としている誰もが容易に入手でき、適切に使用できるための指導、助言、選定、適合、調整等の体制整備や、安全基準、適正価格に対する制度は十分なのか、また、そもそも支援機器の研究開発は障害者や高齢者の特性やニーズを汲み上げているか等の課題もあり、先端技術を導入した支援機器の研究開発や普及は、国として急務な課題である。
 本勉強会においては、平成19年9月から計9回にわたり、障害当事者でもある支援機器に関わる研究者、企業、関係機関、NPOなどから幅広くヒアリングを行い、支援機器の現状と課題について、可能な限り網羅的な整理を試みた。
 本報告書は、支援機器の開発と普及に関し、今後、取り組むべき課題を洗い出すことに重点をおいた『宿題集』となっている。
 支援機器の新たな可能性を最大限に引き出すための研究開発や、その普及を目指して、すみやかに関係者が一致協力して取り組むことが必要である。