令和2年度理療教育第42回卒業式
自立支援局 理療教育・就労支援部
理療教育課
桃の節句、風にも日差しにも春らしさを感じられる3月3日、国立障害者リハビリテーションセンター理療教育第42回卒業式が挙行されました。卒業生・修了生の皆様、誠におめでとうございます。
今年度は、例年と異なり、新型コロナウイルス感染予防のため、利用者と職員に限定しての式典となりました。卒業生・修了生の晴れの舞台に、ご家族をはじめ、関係者の皆様に御臨席いただけず、非常に残念でしたが、緊急事態宣言発出の中、滞りなく卒業式を終えられ、胸を撫で下ろしています。
式典は、卒業生・修了生8名の入場から始まりました。理療教育・就労支援部長が開式の辞を述べ、国歌静聴。心の中で斉唱しました。
卒業証書・修了証書授与では、従来の手渡しはできませんでしたが、壇上の総長から1人ずつ、丁寧に全文読み上げがなされました。その後、総長式辞、厚生労働大臣、埼玉県知事、同窓会会長からの祝辞の代読、祝電披露と続きました。卒業生・修了生への労い、新しい道のりに対する期待が寄せられました。特に印象深かったのは、「人間の持つ無限の可能性」というお言葉でした。埼玉県を代表する学者塙保己一が、全盲でありながらたゆまぬ努力を重ね、40年以上の歳月をかけて、文献集「群書類従」を編纂したことが紹介されました。
卒業生・修了生を送る言葉では、在所生代表の方から、先輩方と過ごした日々、人生を変えてくれた教えに対して感謝の思いが伝えられました。
そして、別れの言葉。卒業生・修了生代表の方が、センター入所までの苦悩、クラスメイトとの得難い出会い、臨床実習で感じた理療師としての喜びなど、センター生活で積み重ねた体験の日々を振り返りました。耳を傾けながら、卒業生・修了生それぞれに、視覚に障害を持ったことへの不安、社会で生きていく上での葛藤、そして理療師を目指す瞬間があったのではと感じました。今年度は、それに加え、新型コロナウイルスの影響が続き、本当に不安いっぱいの1年間だったのだろうと思います。別れの言葉が静かな場内を満たし、こみ上げる思いに肩をふるわせる卒業生、職員の姿がありました。
蛍の光静聴、閉式の辞の後、卒業生・修了生が晴れやかな表情で退場され、式典は無事終了となりました。別れを惜しむ余韻が場内を包みました。
さて、今回の卒業式では、総長式辞と別れの言葉の中に、ある共通した思いが込められていました。それは、「前に向かって進む」です。言葉は平易ですが、意味深く、印象的でした。生きていく中で、これからも様々な困難が立ちはだかるでしょう。卒業生・修了生の皆様におかれましては、たじろぐことなく、前に向かって歩みを進め、人々に必要とされる理療師としてご活躍いただくことを切に期待しております。