身体に障害があると公共交通機関の利用に困難が伴うことから、訓練終了後、直ぐにマイカーでの運転を希望される方が多くなっています。市販されている自動車は障害がない方の運動機能を基準につくられているので、障害の状態に応じた自動車と運転補助装置の選択が重要です。このため支援に際しては、各装置のメリットやデメリットを詳しく説明し、利用者本人が主体的に選択できるように心掛けています。また、最近では自動車に表示する標識(マーク)も様々な種類がありますので、標識の意味を正しく理解して適切に選択します。
1.対象者
2.訓練区分
(1)新規訓練
(2)習熟訓練
3.運転評価の内容
アクセル、ブレーキ操作力検査器
CRT運転適性検査器
主に注意力の状態を見る検査器で、画面に表示される課題に反応することで、反応動作の速さや注意の配分、認知注意の集中分散、状況処理能力などを評価します。
4.運転訓練の内容
(1)学科訓練
(2)実車訓練
所内コースでの訓練風景
初めは、閉鎖された安全な所内コースで障害の状態に応じた訓練車を使用し、周回路、交差点、狭路、後退の課題を通して運転操作の方法、車両感覚、後退での誘導など道路形状に合わせた円滑な通行ができるように繰り返し訓練を行います。
頚髄損傷者用の訓練車
頸髄損傷、胸髄損傷の方は、運動障害や知覚障害がありますので、運転操作力、自動車の乗降、褥瘡やケガの発生に注意して支援を行います。
頚髄損傷者が使用する乗降用トランスファーボード
頸髄損傷の方は、車いすと運転席の移乗が困難な場合があるので、移乗方法に応じて乗降用トランスファーボードを選択して使用します。
右片麻痺者用の訓練車
脳卒中、外傷性脳損傷の方は、運動障害や言語障害などのほかに高次脳機能障害を伴う場合がありますので、その程度に応じた支援を行います。
スキッドコース
滑りやすい路面での自動車の挙動変化を体験し、悪条件下での自動車の限界も体得します。
一般道路での訓練風景
所内コースでの課題が安定した後、一般道路で他の交通へ気配りをした主体的な運転方法や、交通場面に応じた危険を予測した運転方法を体得し、単独で安全に運転ができるように繰り返し訓練を行います。
障害によっては、運転時間の経過に伴って注意力が低下し運転ミスが増加する場合があるので、途中に10分の休憩を入れながら連続2時限の訓練も行います。最終段階では関越自動車道の所沢~東松山間を使って高速道路での訓練も行い運転能力を向上させます。また、全ての訓練車にドライブレコーダが装備してあるので、訓練終了後に問題となった交通場面について、映像で再確認することで訓練効果を高めています。
5.利用する場合の相談先について
電話番号 代表04-2995-3100(内線 2321または2322)
なお、訓練などで電話に出ることができない場合もありますので、ご了承ください。