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2026年度 研究所オープンハウス
出展物について説明をのせたページです。同じ内容をわかりやすい日本語で書いたページを追加予定です。
※開催場所等、開催についての詳細については、2026年度 研究所オープンハウスのトップページ(開催案内など)をご覧ください。
展示室A
感覚機能・コミュニケーション
幼児吃音における発達・環境的要因の解明
感覚機能系障害研究部 酒井 奈緒美
吃音とは、音の繰り返し、引き伸ばし、ブロック(声が出てこない)を主な症状とする「ことばの流れ」の問題です。多くの場合、運動・言語・認知・情動などが大きく発達する幼児期に発症します。幼児期は、様々な能力がまだ十分に発達しておらず、複雑な内容を、難しい言葉を使って、早口で話そうとするなど、能力以上の発話行動を行おうとすることで吃音が生じやすくなるとする理論(要求-能力説)があります。我々は、この理論を定量的に検証するため、子どもの様々な能力と大人のコミュニケーション行動との関連を分析しています。
網膜変性と免疫に関する研究
感覚機能系障害研究部 峯岸 ゆり子
私たちの「視覚」という機能は、眼球内に存在する神経組織である「網膜」によってなされています。網膜を構成する神経細胞が何らかの異常で正常に機能しなくなり、元に戻らなくなることを「変性」と呼び、網膜変性は視覚機能障害の原因になります。『なぜ変性するのか?』という仕組み(病態)を解析することは、変性抑制法を見つける上で重要です。
視覚機能障害研究室では、網膜疾患を模倣するモデル動物をもとに分子生物学・質量分析学と呼ばれる手法を主体とした病態解析を行っています。中枢神経である網膜は本来「免疫特権」と呼ばれる炎症が起こりにくい環境下にあります。そのような網膜でなぜ炎症や免疫応答が起こり、それが網膜の変性とどのように関連しているのかを明らかにすることで、視覚機能維持に向けた創薬の起点を探索するための研究を進めています。
日本手話の情報アクセシビリティに関する研究
感覚機能系障害研究部 高嶋 由布子
日本手話の情報アクセシビリティを確保するには、動画の使用が有効です。動画での発信は、この10年ほどで容易になり、一般にも普及しました。この動画を活かしてどのような情報発信方法があるか、またありうるのかについて、映像手話翻訳の手順や、ニーズについて、研究経過を報告します。
ろう・難聴児の手話習得の支援に関する研究
感覚機能系障害研究部 高嶋 由布子
ろう・難聴児の多くは手話を話さない聞こえる親のもとに生まれます。手話を必要とする子どもたちにどのように手話を覚える環境を提供すればよいのか、どのような面で手話が重要になるのかについて、手話を主に用いて生活しているろう者と共に研究しています。
ピクトグラムは新しい概念をどこまで伝えられるか
感覚機能系障害研究部 西村 綾夏
ピクトグラムは、言葉を使わずに場所や設備を案内する絵記号です。しかし、まだ広く知られていない場所の意味も、絵だけで伝えられるのでしょうか。本発表では、音や光、人混みを避けて気持ちを落ち着ける場所である「カームダウン(クールダウン)」のピクトグラムを取り上げます。ピクトグラムが作られた過程や、意味が伝わるかを調べた試験の結果から、休憩所や待合室と間違えられた理由を考えます。また、分かりやすく描こうとすると、使う人のイメージを決めつけてしまう問題にも触れます。誰に何を伝えたいのか、文字による説明は必要かを問いながら、絵で伝えられることと、その限界を探ります。
運動機能1(脳卒中)
脳卒中に対する新規治療法の開発を目指した基礎研究
運動機能系障害研究部 前川 貴郊 山崎 綾子
脳卒中では、神経細胞の不可逆的な死滅により運動機能障害が生じ、リハビリテーション(以下、リハ)が必要となります。しかし、慢性期(発症から6か月以降)ではリハの効果も乏しく、回復は限定的です。その結果、脳卒中はわが国の要介護原因の第2位を占めています。私たちの研究室では、脳卒中後の脂質動態や、慢性期における神経回路再構築の可能性に着目し、リハと併用可能な新たな治療法の開発を目指しています。
医療的ケア児
医療的ケア児と家族が地域で安心して暮らすための研究
障害福祉研究部 小田島 朋
医療的ケアが必要な子どもは、日常生活を送る上で医療の処置や対応を必要としており、病院から退院すると、多くは医療機器を使いながら自宅で生活をしています。訪問看護や訪問診療、訪問介護を利用していることが多く、これらのサービスを利用するためには、様々な申請が必要になります。保育園や幼稚園、学校に通うための手続きが加わると、調整がさらに複雑になります。地域の機関や施設には、これらの調整を行う医療的ケア児等コーディネーターがいます。コーディネーターは相談支援専門員や看護師、保健師など異なる職種の方が従事しており、2018年から全国で養成と配置が進められています。コーディネーターの活動開始から数年が経過していますが、国の調査では、「活動が十分にできていない」と感じている方が半数以上という結果が出ています。本研究では、コーディネーターがよりよく活動するために必要な対策について考えます。
展示室B
運動機能2(訓練機器・シミュレーター)
自動車運転時の視空間情報処理を評価するためのドライブシミュレータの開発
運動機能系障害研究部 河島 則天
自動車運転は行動範囲を広げ、活発な生活を送る上で重要です。私たちは脳卒中後遺症をもつ当事者の運転再開判断を行う上での評価手法の開発を目的として、視線・頭部計測とハンドル等の操作ログ情報をもとに運転行動に対する諸症状の影響を把握できるシミュレーターを開発しています。
車いすセッティング最適化のためのシミュレーター・設定可変車いすの開発
運動機能系障害研究部 河島 則天
車いすは歩行が困難となった重度運動機能障害者にとって、生活上不可欠となる重要な移動手段です。障害特性や身体機能に応じた最適な車いすセッティングを行うために、車いすの諸設定が可変調整できるシステム、重心位置や車いす座位姿勢の計測・評価を簡便実施できるシステムを開発しています。
重心動揺リアルタイムフィードバック装置BASYSの開発
運動機能系障害研究部 河島 則天
立位姿勢・バランスに障害を持つ方の評価・リハビリのツールとして、重心動揺計測と、計測データにもとづくフィードバック制御により立位姿勢の改善を実現する評価・訓練システムを開発しています。
歩きの特徴を捉える追尾型歩行計測システムの開発
運動機能系障害研究部 河島 則天
リハビリテーション現場で行われる10m歩行をロボット追走により高精度評価し、研究室外での計測を可能にすることで歩行障害データベースを構築する研究を進めています。
脊髄完全損傷者用長下肢装具の開発(成人モデル・小児モデル)
運動機能系障害研究部 河島 則天
下肢運動機能に麻痺をもつ脊髄損傷者が立ち・歩くための装具を開発しています。我々の開発装具は、動力を用いずに股関節・膝関節の協調動作を実現することを開発目標としています。
スポーツ評価・支援
パラスポーツの科学的支援(開発事例・計測サポート事例の紹介)
運動機能系障害研究部 河島 則天
障害当事者が競技として参加するパラスポーツには、車いすや特殊用具が必要になります。私たちは様々なスポーツ競技に関わり、競技用具や車いすの開発や調整、競技動作計測による科学支援の関わりを進めています。
展示室C
福祉機器1(肢体不自由1ほか)
ハンドル型電動車椅子の運転モニタリングシステム
福祉機器開発部 原口 直登
運動機能が低下した高齢者や障害者の移動や外出を支援するハンドル型電動車椅子は,近年さまざまなモデルが開発されています.一方で,その普及に伴い,事故の増加が世界各国で報告されており,安全な利用が課題となっています.本研究では,ハンドル型電動車椅子を利用する方の運転スキルを評価するためのモニタリングシステムを開発しています.このシステムを活用して,安全な運転方法の指導や,一人一人に適した車両の選定を支援することで,ハンドル型電動車椅子の安全性向上を目指しています.
義肢装具の試験評価
福祉機器開発部 石渡 利奈
福祉機器開発部、福祉機器試験評価室では、ユーザーの方が、より安全で十分に機能する義肢装具を利用できるようにするため、義肢装具の試験評価に関する研究を行なっています。
具体的には、義肢装具の試験方法に関する調査研究、実際の試験や、破損データの収集分析等をもとに、試験評価法を開発しています。
試験は、大きな力がかかった時に、義肢装具が耐えうるかを調べる強度試験、長期間の使用に耐えうるかを調べる繰り返し耐久性試験などがあります。
頚髄損傷者の体調支援に関する研究
福祉機器開発部 高嶋 淳
体調管理が困難な頚髄損傷者のための体調管理を支援する技術開発の紹介です。
高次脳機能障害のある方の生活を支えるアプリに関する研究
福祉機器開発部 川﨑 めぐみ
スマートフォンのアプリは、記憶の補助やコミュニケーションの支援などに活用されています。
この研究では、高次脳機能障害のある方一人ひとりに合ったアプリの選び方や調整方法を検討しています。また、実際にアプリを操作したときの使いやすさや、利用する上での課題についても調査しています。
展示室D
発達障害者の認知特性・感覚運動特性
発達障害者の表情認知の特徴
脳機能系障害研究部 Kevin Widjaja
自閉スペクトラム症(ASD)の人では、社会的コミュニケーションの障害や行動の反復・興味の偏りなどが障害の中核とされています。一方、ASDの人では、視覚・聴覚・触覚などの感覚が定型発達者とは異なるやり方で処理されることがわかってきました。このことが、定型発達者との間で生じるコミュニケーション障害の原因になっているのかもしれません。ASDの人と定型発達の人が表情変化をどのように感じるか調べている研究について紹介します。
発達障害者の聴覚の問題とその軽減を目指す研究
脳機能系障害研究部 和田 真
自閉スペクトラム症(ASD)の当事者が抱える生活上の困難において、アンケート調査では聴覚過敏性に関わる問題が最も際立つものとされています。聴覚過敏性の問題は個々人の特性や生活環境の違いから多様なものとなっており、それら個人の違いに適応して聴覚ストレスを和らげることが可能な支援システム(例:スマート耳栓等)が必要と考えました。聴覚過敏の緩和を目的とした個人適応型のデジタル耳栓を開発するための研究の紹介です。
道具使用の困難に関する研究
脳機能系障害研究部 花島 諒
自閉スペクトラム症(ASD)などの発達障害にともなう,認知特性,感覚運動特性の特徴に関して研究を行っています。ASDの人は,箸の先がわかりづらいなど道具使用の苦手を感じることが多いといわれています。道具を使いこなすためには,その道具を自分の体の一部のように認識し,周囲との位置関係を把握する必要があると考えられています。本研究ではバーチャルリアリティの空間の中で体を動かす実験を行い,道具使用の特徴を明らかにすることを目指しています。
自閉スペクトラム症者の聴覚の特徴を明らかにするための研究
脳機能系障害研究部 和田 真
自閉スペクトラム症(ASD)の当事者の多くが、何らかの感覚の困りごとを有し、聴覚に関する問題が目立つことがアンケート調査で確認されています。ASDの当事者を対象に聴覚の特徴を明らかにするための実験を行い、聴覚認知の時空間的な特徴を調べています。一例として,音の発生源を推定する手がかりとなる両耳間音圧差と両耳間時間差を掲示する実験を行い,ASD者の聴覚の特徴を明らかにするための研究を紹介します。
福祉機器2(肢体不自由2)
顔の中の動き(眼、頭、口の動き)を検出してスイッチ操作につなげるシステム
福祉機器開発部 伊藤 和幸
ALS患者等の重度の運動機能障害者を対象に、眼や頭、口の動きを検出してスイッチ操作につなげます。左右を見たり眼を閉じるなどの動き(眼の動き)、顔を左右に向ける動き(頭の動き)、口を開ける(口の動き)等の動きを検出してスイッチ操作につなげます。スイッチ操作により、ボッチャのボールを投げたり、スロット機を動かすことができます。
義手・義足の現在
義肢装具技術研究部
義肢装具技術研究部は、義肢装具の製作及び修理のための技術に関する調査及び研究を行っています。現在、臨床にて製作されている義手や義足を展示します。
筋電義手・能動義手体験会
義肢装具技術研究部
モータで動かす筋電義手とワイヤで動かす能動義手を体験できます。
※開催時間は下記の通りです。希望者全員の参加は約束できかねますので、あらかじめご了承ください。
- 10時30分から 11時15分まで
- 11時30分から 12時15分まで
- 12時30分から 13時15分まで
- 13時30分から 14時15分まで
- 14時30分から 15時15分まで
ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)実用化研究
脳機能系障害研究部 高野 弘二
脳活動を利用して機器の操作やコミュニケーションの補助を行う技術をブレイン・マシン・インターフェイス、ブレイン・コンピュータ・インターフェイスと言います。国リハ研究所ではこの技術を用いて、重度の疾患や外傷による障害で、自身の身体を用いてのコミュニケーションが困難な方向けの機器の開発を進めています。本年度は機器の継続的な提供に必要となる脳波計について安価で提供可能な機器を開発したのでこれを展示します。
展示室E
福祉機器3(認知機能)
認知機能低下のある高齢者を対象とした、情報支援ロボットの地域実装手法の開発
福祉機器開発部 間宮 郁子
軽度認知症やMCI(認知機能の低下が見られる状態)では、脳神経細胞の大幅な減少等により、新しいことを記憶しにくくなったり、日付やスケジュールが分からなくなったりして、自分で暮らしを切り盛りすることが難しくなります。
こうした方の多くは、介護サービスや医療資源と接点がありません。
私たちは過疎高齢化地域(伊豆市土肥地域)をモデルとして、住民が情報支援ロボットからこうした高齢者に声掛けを行う運用体制を作りました。ロボットの機能と適合方法、住民の皆さんの知見をマッチングし、住民の皆さんの視点で活用場面や運用体制を整え、外出の少ない高齢者を対象とした6カ月の試行実験を行いました。高齢者の孤独感・地域との交流に改善が認められ、母体となるNPO法人(住民組織)の運用体制ができたことから、2026年から実装されています。
これらの経過を、動画とパネルで紹介します。
認知機能を支援する機器の利活用に関する研究
福祉機器開発部 川﨑 めぐみ
認知機能を支援する機器は、認知機能障害のある方の生活を支えるために使われています。この研究では、必要な方が自分に合った支援機器を利用できるよう、その提供方法や支援体制について検討しています。当展示では、予定の管理や服薬、見守りなどを支援する機器を80点ほど紹介しています。実際に支援機器を試してもらうことで、どのような機器があるのかを知り、理解を深めていただくことを目的としています。