ロービジョン・クリニック受診者アンケート調査結果の概要

第三機能回復訓練部 大津あかね ・久保明夫・菅野和子
三輪まり枝・林 弘美・石田みさ子
簗島謙次

 第三機能回復訓練部におけるロービジョン・クリニック受診患者は昨年度1,000名を越えた。それを機に平成9年12月に行った生活状況などのアンケート調査結果の概況を報告する。

1. 目的と方法:クリニック受診者の現状や受診の感想・意見などを把握し、クリニックの効果の程度を知り、今後のサービス内容の充実と改善のための資料とする。アンケート用紙の配布と回収は郵送で行った。

2. 対象者:ロービジョン・クリニック受診者1007名。

3. 調査結果の概要:回答者478名(回収率 47.5%)

(1) 光学的補助具について: クリニック受診者のうち347名(73%)が補助具を処方されていた。内容はサングラス174件、手持ちルーペ131件、メガネ106件などで、処方した補助具を使用している人は278名(80%)であった。視力の低下に伴い、再び補助具の処方を希望する人が約200名(42%)いた。補助具を使用することで、「視覚が活用できることがわかり、安心感と自信が持てた」、「仕事を継続することができた」という声もあった。補助具の最新の情報を求める意見も多かった。

(2) 社会適応部門:病気についての知識や理解が得られた329名(69%)、他人に障害のことを話せるようになった291名(61%)、精神的にゆとりが出てきた203名(42%)等と自分の病気(障害)を理解することで、病気(障害)と向き合い、心に余裕が出てきたという意見が多かった。個々のニーズは進路(職業)指導、手帳・年金に関する相談、各種訓練等さまざまだが、具体的なアドバイスを受けた後、自ら積極的に情報を求めるなどの、意欲的な態度が見られた。

(3) 全般:ロービジョン・クリニックを受診した感想では満足・まあまあ満足を併せると324名(68%)であった。他の医療機関と比較して、医師・視能訓練士・生活訓練専門職のチームアプローチにより、フォローアップも充実しているという意見が目立った。また、やや不満は7名(1%)、不満は21名(5%)であった。視覚障害により、情報の不足を感じ、ロービジョン・クリニックに対して多大な期待をしている人が多いように思われる。また、遠方からの受診者も増えており、全国にロービジョン・クリニックを設置してほしいという声も高かった。今後の課題としてロービジョン・クリニックの存在を広めていく必要性を感じる。




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