コンピュータ学習指導システム導入の経緯と課題

理療教育部理療教育課 厚生教官 乙川利夫

 平成8年度概算要求においてコンピュータ学習指導システムに係る予算が計上され、平成9年度理療教育部内に推進委員会を設置し、機器選定及び運用等の検討を行った。

 システム導入の第1の目的は、入所者の文字能力の補償にある。中途視覚障害者の多い理療教育課程では、墨字・点字いずれの文字使用にも困難を抱える入所者がほとんどである。日本語音声ワープロ及び点字ワープロを使用して、自らのノート作成や教官から提示される資料の閲覧を行い、学習の反復を可能としてその効果の上昇をめざす。第2の目的は、理療教育課程の履修科目の中でコンピュータを活用し、授業の効率を上げるための検討をすることである。

 ハードウェア及びソフトウェアの選定は、音声ガイドが利用できることを条件に作業を進めた。その結果、バリュースターシリーズのパソコン本体に合成音声装置及びピンディスプレイを接続し、日本語音声ワープロ「でんぴつ」・点字ワープロ「ブレイルスターIII」をインストールした構成が望ましいという結論を得た。

 運用については、当初個人貸与と教室設置の2本建てで構想を練っていたが、購入台数と管理面の関係から、一つの教室(現特別学習室)に共用品として配備することとした。

 本年度に入り、教室の施錠と管理体制の検討を進め、できるだけ長時間入所者の利用を確保するためカードキー方式の導入に至った。また、利用規定を作成し、運用と管理を明文化した。

 入所者の中には、他施設を含めてワープロ等の指導を受けてきた者もあるが、全くの初心者もいる。この入所者に対して一定の技術知識を得たところで利用許可を与えることとした。事前に希望調査を行ったところ、全入所者のうち3分の2の者がコンピュータ利用を希望しており、約100名の者について指導の必要があることも分かった。

 今後の課題として次のことが挙げられる。

(1) 指導体制と時間の確保
(2) 入所者の様々なニーズへの対応
(3) ハードウェア及びソフトウェアの更新に必要な予算の確保
(4) 機材の増設と設置場所の確保
(5) 使用中のトラブルへの対処




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