病院における嚥下造影検査食の取り組み

管理部 栄養管理室 繁田文子 ・田中晴美・内山久子
診療部 耳鼻咽喉科 片野宏明

 栄養管理室では、平成7年より嚥下造影検査食の指示依頼を、耳鼻科から受け取り組んでいる。
 嚥下造影検査食には、バリウムが入X線透視下で規定の検査食を食べることで、咀嚼・嚥下器官の働きと飲食物の通過を目で確認することができる。
 様々な食形態の検査食を使用することで、誤嚥の有無の確認や患者にとっての安全な食事内容を認識する事が可能となる。
 使用する造影剤については、何種類かある中で加熱しても造影され、少量の誤嚥があっても比較的毒性が低いといわれている硫酸バリウムが最も有効かつ適切である事からドクターの指示により以前から硫酸バリウムを使用している。
 検査開始当初は、造影剤入りゼリーのみを提供していたが、今年度よりクッキー・蒸パン・うどんと種類を増やした。ゼリーは、基本的には粉寒天に造影剤を温熱溶解後冷却することによって出来上がるが、粉末の造影剤の場合は冷却時に底に沈殿するため全体に造影剤が均一に行き渡るよう液体の造影剤を用いて作る。一方使用中の粉寒天に関しては、嚥下障害の方には不向きの場合もある事から今年になり寒天の分子量が、1/4に短くなった介護用ウルトラ寒天を使用した。
 この寒天は、常温では固まっているが口腔内では、体温によって溶けゼラチンと同様の特性がある。80℃の熱湯で完全溶解するため調理作業も容易となり安全性と調理面の相方が改善された。
 クッキーについては、今年になって作り始めた一品大変好評な食品でパサつきは、嚥下しにくいものの指標になっているため使用頻度が多く生地の状態で、冷凍保存する方法により焼きたてクッキーを提供することが可能となった。蒸パンについては、市販のホットケーキミックスを利用し電子レンジで作る方法をとった。当初、粉末バリウムを使用したところ食感にざらつきがあり食べ辛かったことから、液体バリウムに変更すると食感も良くなり形状も改善された。
 うどんについては、市販のうどんの様にはいかなかったが、 試作うどんで検査を行うことが出来た。食べることを拒絶した患者だったが、麺類が好物と言うことで試したのがうどん作りのきっかけであった。
 また今年の10月から病院において摂食嚥下訓練検討会が発足した。栄養管理部門においてもチーム医療の一員として円滑かつ有効な嚥下造影検査食作りに引き続き取り組んでいきたいと考える。




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