シーティングクリニックにおける褥瘡アプローチの紹介

第一機能回復訓練部
病院
福祉機器開発部

補装具制作部
岩崎 洋 ・伊集玲子
関 寛之
廣瀬秀之・井上剛伸・中山 剛
石濱裕規・塚田敦史
高橋攻次・岡本 晋

【はじめに】
 1992年より、PTでは褥瘡をもった脊髄損傷者に対して、Drのオーダーにより、座圧測定を中心に、再発予防指導を施行していた。しかし、褥瘡の発生要因は圧のみならず、温度、湿度、車いす、姿勢、動作等が考えられる。そのため、シーティングクリニックは、それらの問題に対応する褥瘡アプローチを開始した。今回は我々のアプローチ内容を紹介する。

【対象者】
 対象者は当センター入院・外来患者、入所者である。98年4月から99年10月までのシーティングクリニックの全対象者は91名であり、褥瘡アプローチ対応者数は46名(約50%)である。障害の内訳は、脊髄損傷37名で全体の約80%を占め、以下、二分脊椎4名、脳性麻痺2名、その他3名である。

【アプローチ内容】
  1.評価:アプローチは2段階に分かれ、1段階は評価で原因の追求である。(1)聞き取り:とくに、本人が考える褥瘡発生の理由等を聞き取る。(2)褥瘡についての評価:部位、面積、深さ、滲出液の程度等をみる。(3)姿勢評価:座位での姿勢、脊柱の変形等をみて、褥瘡との関係を考える。(4)クッション評価:日常生活で使用しているクッションの評価であり、使用年数、衛生管理の程度、底づきしていないか等をみる。(5)圧測定:座圧、または圧の測定は、日常使用している車いす上での座位、または仰臥位である。(6)トランスファー評価:褥瘡の要因となる傷をつくらないように、車いすとベッド・トイレ・風呂(洗体台)・自動車のトランスファーをみる。
  2.対応:アプローチの2段階は対応で、具体的には指導、用具の改善である。(1)褥瘡の説明と確認:原因がわかれば、説明し、今後の方針などの話し合いをする。(2)除圧指導:プッシュアップ、体幹の前後左右に、傾斜させることによる圧力の変化を、圧センサーのディスプレイでみて経験をさせる。(3)車いす説明と調整:座と背との関係を説明し、褥瘡の要因となるような角度であれば調整をする。(4)トランスファー指導:傷をつくらない方法の指導である。(5)座位保持装置の処方:評価時に褥瘡の原因となる姿勢変形がみられる、または将来的に考えられる場合は、本人、医師との相談により事前の対応をする。

【おわりに】
 我々は褥瘡の予防は、まず、原因を知り、理解し、次に、対応を知り、理解をすることで、そのためには適切な指導、教育が重要と考えている。

 




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