国立別府重度障害者センター職能訓練における現状と課題

国立別府重度障害者センター 指導課 浦田真由美

1.はじめに

 職能訓練では、入所者に対して職業的自立の可能性の追求や趣味の領域拡大を図ると共に、豊かな生活を営む一助となることを目的に訓練を実施している。

2.職能訓練の現状

 当センターには平成13年11月1日現在64名が在籍。障害別にみると頸髄損傷者が87.5%と圧倒的に多く、胸・腰髄損傷者が6.2%と続いている。平均年齢は35.0歳、過去5年間の平均在所日数は977日であるが、ここ数年減少傾向にある。
 訓練内容は事務、ワープロ、情報処理、手織、トールペイントの各コースから成っており、基本的には訓練対象者が希望するコースを選択し早期の段階で訓練を開始している。
 また、訓練の進捗状況によっては、コース変更や第2希望の訓練を並行して実施するなど柔軟な対応を心掛けている。最近では手織・トールペイントコースの入所者が時代にあった技術習得という理由でパソコンの訓練を希望し実施するケースが多い。その他、講義形式の訓練や作品展・店舗の見学等を行い、時代のニーズに合った訓練を意識している。重度頸髄損傷者の訓練実施にあたっては、当センターOTとの連携のもと訓練環境を整えている。また、職場復帰や障害者職業能力開発校入校を希望している者も多く、ワープロ、ビジネスコンピューティング、簿記等の検定試験へ積極的に取り組んでいる。さらには基礎学力が不足している者に対して、学習訓練の時間を設け訓練内容の充実に努めている。

3.課題

 現在、60名余りの訓練生に対して、職員1名と講師4名で対応している。入所者のレベルや進捗が各人異なることや、訓練対象者が集中する時間帯もあり、細部にわたった技術提供が困難な状況にある。また、訓練対象者のニーズも多様であり指導する立場として専門的かつ幅広い知識が求められている。後指導のあり方も今後の課題と言えよう。

4.まとめ

 訓練内容は社会情勢とともに変化していくものである。訓練対象者が職能訓練を通して、自己実現できるよう情報収集するとともに、訓練方法・訓練内容の改善を行っていくよう心掛けていきたい。




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