離棟・離院患者の実態調査
 〜監視システムを導入して〜

看護部 3階病棟 福元牧子・横田美恵子・3階病棟一同

はじめに

 3階病棟での事故報告には、離院・離棟がある。当病棟では脳血管障害や脳外傷患者の無断離院が起こっている。私達は安全をあらゆる感覚を駆使し危険回避へ注意を向けているが、個人の努力では防止できないのが現実である。事故防止は医療従事者の意識と組織で取り組むことが必要不可欠といわれている3)。今回、病院における安全への取り組みから離棟・離院の実態を調査した。
目的:監視システム導入前後の実態を調査する。

T. 研究方法

1.研究期間:平成14年4月〜平成14年10月
2.対象:平成12年4月〜平成14年10月に当センターの3階病棟で病棟不在が分かり職員が捜索した患者。
 データは、看護記録、当院の事故報告書、ヒヤリハット報告書を基に身体機能、認知機能、、時間、発見場所んついて分類、集計した。
 徘徊患者監視システムとは:対象者が、その場所を通過すると携帯している発信器から電波を受診して看護師の携帯しているポケットベルと看護室内・医事課・防災センターの表示盤へ表示される。(資料参照)

U.結果

1.離棟・離院件数:平成12年は離棟37件、離院5件の計42件、平成13年は離棟が22件、平成14年は10月末までには8名、10件の離棟があった。
(1)身体機能:平成12年、13年の計24名の身体機能は麻痺ありが23名、麻痺なしが1名主な移動手段は、車椅子14名、歩行10名でBarthel Index値に関係なく移動能力があれば離棟の行動を起こしている。
(2)認知機能:記憶障害、注意障害、見当識障害、知的機能低下など認知機能障害が重複しておりHDS-Rの結果でも20点以下が24名中、22名だった。
(3)時間:活動時間帯に集中して多かった。
(4)発見場所:平成12年は外来近辺で発見された例が最も多くセンター外は2件だった。平成13年はセンター外に出る例はなっかた。14年は1件センター外があった。

V.考察

 平成13年には徘徊監視システムが導入され対象患者がエレベーターに乗ろうとし、アラーム音が鳴り看護師が駆けつけた結果となっている。ただし、病棟の構造、人員、監視システムなど限界の問題がある。病院全体での対応としてカエルマークを衣服に付ける、写真入り入院カードを携帯し訓練出棟時は職員が付き添っている。患者が安全に入院生活を送る事ができるよう環境を整えることは、看護師ほか、病院職員の役割として、人権の尊重につながるという意識を持ち、安全対策システムの検討・修正し、情報を共有しながら取り組んでいきたい。




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