障害者スポーツ大会におけるマッサージ施術の試み

国立福岡視力障害センター 教務課 池田 和久・江黒 直樹

【はじめに】

 障害者スポーツ大会において障害者の方々の身体的・精神的パフォーマンスの向上を図ることを目的にマッサージ・指圧・按摩施術を行った。また、障害者スポーツの指導・普及に役立てるためにアンケート調査を行った。

【対象】

 第40回福岡県障害者スポーツ大会及び第7回福岡市障害者スポーツ大会に参加された選手、監督、大会関係者、応援の方々を対象に行った。

【方法】

 施術方法は、マッサージ・指圧・按摩を行った。また、かながわ・ゆめ国体参加報告書を参考に予診表(アンケート)を作成し、年齢、性別、大会参加形態、鍼治療等の手技療法の有無、症状の把握、施術部位の確認、施術後の感想要望を記録した。

【結果】

 2つの大会の施術総数は46人(男35人、女10人、不明1人)、その内選手は26人(57%)、平均年齢は52±15歳であった。障害部位(主訴、複数回答有)は、肩部が39%、次いで下肢31%、腰部26%であった。マッサージ施術の経験は21人(46%)であった。施術は、主訴の部位を中心に行い、施術時間は16±4分であった。
 施術についての評価は、@施術後の現在の様子は「軽いつらさ」20人(43%)、「つらくない」18人(39%)、A施術の目的は達成できたかは「十分に達成した」16人(35%)、達成した15人(33%)、B施術全体の感想は「最高」16人(35%)、「よい」15人(33%)、C再び施術を「受けたいか」は37人(80%)、「受けたくない」2人(4%)、D他の競技場でもこのようなマッサージボランティアの希望は「はい」35人(76%)、「いいえ」 1人(2%)であった。

【考察】

 マッサージ施術に対する感想は概ね良好な結果であった。他の競技場や大会での実施を希望される方が多かった。また施術を受けられた選手の多くは介助者を同伴されており、このような方々の理解も重要であると思われた。問題点として、様々な障害を持たれた方(視覚障害、聴覚障害、言語障害、知能障害、複合障害)との対応に苦慮することがあった。これは施術者側にそれぞれの障害にあった配慮が必要であり、適切な対応を考慮していく必要性があると思われた。
 今後障害者スポーツの普及に際しては、スポーツをされる方々の障害の程度と、スポーツ障害の部位やケアの仕方、コンディショニングの方法についても調査研究する必要があると考えられた。




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