シーティングクリニック、褥瘡再発予防における接触圧測定装置の有効性 ―第1報―

研究所 福祉機器開発部 廣瀬秀行、井上剛伸、二瓶美里
運動機能系障害研究部 新妻淳子
障害工学研究部 中山剛
補装具製作部 三田友記
病院 第一機能回復訓練部 岩崎洋、吉田由美子、中村優子、堀達之、関寛之

 脊髄損傷者は昔のベッドと車いすの二者択一の生活から、仕事、スポーツ、旅行、 そして普通学校進学などより広範な社会生活へと広がった。その為、個々の原因によって 褥瘡は再発をしており、その原因を取り除かない限り、再発は繰り返してゆく。よって、 社会参加を継続するためには、特に褥瘡発生では個人の原因を探る必要がある。病院では 研究所と一緒になり褥瘡再発予防プログラムをシーティングクリニック時に開催している。 本プログラムでは原因を追求し、それらに対する予防対策を教育している。
 褥瘡の原因究明や予防に接触圧測定装置が重要な役割を果たす。接触圧力は目に見えない、 そして感じられない圧力の分布を視覚化する。同時に定量化することでよく使用されている。 その為、クッションの評価など主として研究用として使用されてきた。しかし、装置は  1)誤差(ヒステリシス10-15%) 2)垂直の圧力であり、水平はとれにくい。  3)圧力値の高さと褥瘡発生のEBMはない。(Lim: JRRD,1988: Garber:AJOT,1978)  4)センサーが折れ曲がると、誤差が大きくなる。萩沢:JCART,1999などの問題がある。
 そこで我々は以下の判断基準によって接触圧力分布を褥瘡発生の原因追求と予防教育に 使用している。 1)同一人物でのクッション比較などでの相対的圧力値 2)臀部と大腿部 への接触面積 3)接触圧力が高く、なおかつ褥瘡部が一致した姿勢や環境は褥瘡の発生 原因である、 4)誤差を容認した数値などの判断基準で装置を使用している。
 実際には、入院中での病棟マットレスの選択やベッド臥床生活から車いす生活への 変換時からの介入から始まり、退院後での車いす・自動車・トイレ・ベッドなどでの 生活場面での接触面の接触圧力分布を測定している。圧力値が水銀柱で表されるので、 血圧計測の腕の圧迫感と血流の停止状況を例にして説明しており、褥瘡原因を納得、 そして例えば、クッションなど変更する場合、説明しやすい。また、同様に、それら 生活環境での除圧動作の指導に接触圧力測定装置は重要な役割を果たし、接触圧力が 無くなる最小の動作を教え、そして理解していただくことができる。本装置なくしては クリニックの継続が出来ない状態までになっている。




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