更生訓練所 指導部 相談判定課 | 丸山華子、高橋久雄、小熊順子、工藤裕司、菅野博也、生村浩史 |
平成15年度から、利用契約の考え方に基づく「支援費制度」が全国的に始まった。 以下に、更生訓練所の入所窓口である相談判定課で、支援費制度導入後のサービス提供時に 見出された問題点と、今後の課題を記す。
1.外来相談件数の増加:見学相談・電話相談・文書のやりとりなど含め、対前年度
比20%増の3,000件に達する見込み。
2.個別対応による煩雑化:利用者本人や家族のほか、援護の実施者、病院、学校、
職安関係者など、多方面の相談者から、入所に関する具体的な説明が求められるようになった。
3.書類審査による情報収集不足:申請書類の大きな変更や、面接・試験など入所前の選考は、
理療教育課程以外の訓練課程において基本的には実施しないことになったので、入所にあたって
問題になりうる事項や本人の具体像が把握しにくくなった。
4.重要事項説明会の不振:サービス利用に係る重要事項説明会を企画したが、肢体不自由
の申請者が最も参加率が高く、肢体不自由の申請者全体のうち約6割であった。その他の申請者
は参加希望者が極端に少ないか、参加者なしの状態が多かった。
5.心理業務の大幅増加:心理検査は全て入所後に実施することになったため、障害の
重度化・重複化に伴って、検査の種類や相談が増加・多様化傾向にある。
1.申請手続きに係る業務の合理化:利用しやすい申請書類をめざして申請書類様式を
見直す予定である。各障害特性に合わせ、より配慮された見学相談体制を目指す。
2.新規学卒者等に対する集団見学会の充実:高校3年在籍中の申請希望者、その学校
関係者や家族に対する集団見学会は計8回開催されたが、次年度は見学会参加者からの
情報収集方法、センターに関する情報提供方法を改善する。
3.入所の可否に関する判断基準の整備:入所生活への適性評価を実施するかどうか検討
を要する。
4.重要事項説明の実施方法の再検討:各障害特性に配慮し重要事項説明の内容提示方法
を見直す必要がある。
5.心理業務の整理、見直しと人的確保
1.入所申請窓口から、利用者の自己決定を支援する総合的な相談窓口を目指す。
2.利用希望者の多様化に伴い、幅広い心理業務を実現する体制を目指す。