身体障害者数の動向と障害認定基準改正の概要

更生訓練所 指導部相談判定課 工藤裕司
厚生労働省障害保健福祉部企画課 医療専門官 佐久間肇
前厚生労働省障害保健福祉部企画課 医療専門官 木村博光

1.はじめに

 身体障害者手帳の交付事務は、身体障害者福祉法の施行以来、現在まで半世紀以上 に渡って続いている歴史のある制度。この間、いわゆる内部障害をはじめ時代の要請と 共に身体障害の対象範囲を拡大してきた経緯があり、平成12年度には身体障害者手帳の 交付事務そのものが自治事務化し、その要となる身体障害認定の取扱いについても、国 から各都道府県・指定都市・中核市に対して権限委譲されたところ。これによって身体 障害認定基準は、国が地方自治体に対して適正な運用を支援するためのガイドラインと して位置づけられた。
 本発表では、今年度から運用されている「そしゃく機能障害」と「ぼうこう又は直腸 機能障害」に関する認定の取扱いを中心に、明確化された「身体障害認定基準」や「認定 要領」の位置づけ、及び認定基準と身体障害者数の動向との関係などについて解説する。

2.身体障害児・者実態調査(H13.6)の結果及び身体障害認定基準の改正の概要について

(参考資料等は省略)

3.まとめ

 我が国の身体障害児・者数は、約352万人と推計されている。今回の調査では、障害者数 全体の増加に加えて高齢化や重度化、あるいは内部障害者の急増などの傾向が顕著となった。 こうした状況下において、様々な障害福祉施策の対象となる方々の範囲をどのように設定 するのかについては、大変重要な問題であるとともに実に様々な見解や主張がある。 しかしながら、いずれの方法にしても現実には多くの課題があり、障害認定基準の抜本的な 見直しを考えるとすれば、障害別、年齢別などに構成された現在の法体系そのものを横断的 に改正する必要が生じるなど、一朝一夕には解決できない長期的な課題となることは必至である。
 反対に、現在の障害認定基準の不整合部分を着実に修正しながら、ガイドラインとしての 現行基準を継続的に整備していくという極めて現実的な対応を考えたとしても、現行制度 では肝臓機能障害等が認定対象となっておらず、臓器移植者の認定方法等も未だ整備されて いない中で、いわゆる内部障害を身体障害としてどこまで拡大していけるのかという問題は 避けては通れない。つまり、難病対策等に代表されるように、一般的には障害固定して いない医療サイドの問題として整理されてきた「疾病」と「身体障害」の関係を、将来的に どのように整理するのかといった大きな問題が存在している。
 今回の発表は、後者の「現実的な対応」に取り組んだ結果の発表である。




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