更生訓練所職能部 | 上野久美子 |
更生訓練所長 | 岩谷力 |
職能部 | 杉原憲明、占部耕三 |
研究所障害福祉研究部 | 八巻知香子 |
更生訓練所職能部では、過去7年間の職能訓練修了者を対象に、現在の就労状況や 日常生活等の実態を調査した。
平成8年度〜14年度までの間に職能訓練を修了し、住所不明、死亡等の人を除いた 164名に対して調査票を郵送にて配布した。調査期間は平成15年7月〜9月末で、その間に 回収された調査票は125票(回収率76.2%)であった。
(1)基本属性・・・男女比では男性が約7割で、年齢的には20代が過半数を占めている。
障害種別では肢体不自由が8割以上を占め、その起因する疾患は脳血管障害、脳性麻痺、
脳挫傷等の脳原性疾患の割合が高かった。障害の程度は1,2級が4分の3以上であった。
(2)現在の就労状況等・・・就労状況等は、「授産施設等」が最も多く36.8%を占め、
「就職」は26.4%、「自営・内職」は5.6%、「無職」は31.2%という状況であった。
(3)訓練効果の評価・・・訓練効果については7割強の者が「役に立っている」「少し
役に立っている」と回答している。
(4)評価の内容・・・「役に立っている」「少し役に立っている」と回答した者の評価内容
は、技能習得できたこと、その訓練が活用されていることの意見が多く、次に日常生活上
のことや職業意識、生活習慣が身についたといった意見が続いている。
「あまり役に立っていない」「役に立っていない」と回答した者では、訓練が活用されて
いないとの意見が多かった。
就労状況等については、前回の調査結果と比較すると、「就職」「無職」には大きな
変化はなかったが、「自営・内職」が16.6%減少し、逆に「授産施設等」が17.8%、
増加している。
訓練効果の評価については、「役に立っている」「少し役に立っている」との回答は
7割を超え、前回の調査結果に比べてより有用性が評価されている傾向が見られた。
その評価の内容としては、技能習得に関する意見が多いが、「日常生活全般において
役立っている」「職業意識・責任感が身についた」「生活習慣が身についた」といった
評価もあり、技能習得以外の訓練効果も実感されているということがわかった。
しかし、「あまり役に立っていない」「役に立っていない」との回答の中では、
「十分な訓練が受けられなかった」「個々の障害にあわせた訓練を」といった意見もあり、
今後の職能訓練の検討課題も指摘された状況となっている。