研究所障害福祉部 | 北村弥生 |
沖縄県立看護大学 | 上田礼子 |
学院PO学生 | 徳井亜加根 |
障害の種類や程度に関わらず、障害児(者)のきょうだいは発達過程において親の
関心が障害児に集中することに対する嫉妬や親亡き後の障害者の後見問題について悩む
ことが多い。きょうだいに対する予防的な支援として、学童期にきょうだい同士のピア
サポートの場を提供すると共に正確な情報の提供が有効であることが欧米で報告されて
いる。アメリカで開発された学童期のきょうだいを対象としたグループワーク(シブ
ショップ)は遊びと討論を主とした活動を行うことを特徴としている。このプログラムを
日本で実施する際に予測される困難は進行役も参加する子どもも討論に慣れていないこと
である。2001年にシブショップの開発者マイヤー氏が日本人のきょうだい(学童)を対象
にデモンストレーションを行った時にも、マイヤー氏は「遊びへの反応は日米に差は
なかったが、討論は米国ほど盛り上がらなかった」と述べている。そこで、我々はシブ
ショップを日本で実施する際に変更すべきことを明らかにすることを目的に2002年10月
から2003年8月までに3回の試行を実施したので報告する。
シブショップは休日の10:00から14:00に昼食を挟んで行われる。毎月、同じ子どもが
参加し5回で1セッションとしている。障害についての専門職者と大人のきょうだいが
2人で進行役を務め、10人〜15人の子どもが参加する。プログラムは全員で身体を使った
10分〜15分のゲームを10種程度と25 分程度の討論3種から構成されている。
日本での試行は開催時間と子どもの参加人数は同じであったが、開催間隔は5か月、
参加する子どもの半数に入れ代わりがあった。医療関係の専門学校学生であるきょうだい
1人が進行役を務め、20代のきょうだいと医療関係の学生合計10人程度が子どもの他に
参加した。1ゲームあたりの時間は約30分、2チームの対抗戦で得点を競い合うことに
より子どもの関心を集中させた。全員での討論は実施せずに、チームごとの作戦会議、
おやつ、クイズの問題作りの時間や、作業の間に自然に会話するに留めた。それでも、
障害のある子どもの話やそれに伴うきょうだい自身の経験が話題になり、事後調査では
母親ときょうだいが障害について話す機会が増えたこと、きょうだいが自分のための
時間をもったことに満足していたことが明らかになった。