医療相談開発部 | 森曜子、菅原美杉、小山聡子、森田勝義、大津あかね、大島千帆、上村裕子、佐久間肇、高次脳機能障害支援モデル事業病院部会 |
高次脳機能障害患者のリハビリテーションと社会復帰支援に占める家族の役割の 大きさに鑑みて、2001年4月より「高次脳機能障害者の家族学習会」を開催している。 本発表では学習会の経過を紹介すると共に、3年間の参加家族計322名中アンケート 提出者270名(回収率83.8%)からのアンケート結果を元に、反応を分析し、今後の 課題について報告する。
2001年から2003年11月までに行われた学習会は計18回、対象患者数は148名。 1年目は回ごとにテーマを設定して当該専門職の講演を年5回、2年目は(1)総論、(2)訓練 におけること、(3)退院後にむけての3テーマ、1クールを年2回、3年目は前半を2年目 同様の形式で3テーマ、1クールを2回、後半は(1)(2)をA班、(3)をB班とする構成へと、 テーマ構成や頻度を変化させた。また2年目より参加対象者人数の変化や患者家族の立場に 立った対応をすべく、質疑応答や意見交換等に当てるグループ討議の時間を取り入れた。 1回の開催時間は1〜2時間とした。
今後の学習会に期待されるテーマ(複数回答):一番回答が多かったのは、訓練
であり、続いて福祉制度、家族間での情報交換・交流、医療的知識、家族の悩み、
その他の順になっている。
質問・要望:1年目は制度に関する質問や、学習会の形態等に関する要望が多く、
2年目はそれらを取り入れて形態等変化させたこともありプラスの意見が増えた。
本年度は途中経過ということや対象家族数を絞り込んだことで、質問・感想は減り、
進め方等に関する要望はほぼ横ばいである。
グループ討議(2年目に限定)14年度でグループ討議に関しての回答結果は
「今後も希望」が大多数を占めた。意見には「色々な体験を聞き、病気の理解が進んだ」
等情報面でのプラスと、「大変なのはどこも同じだと思い、励まされた」等感情面の
プラスが表明された。一方、「あまりに違う状態の人の話を聞くのは悲しい」という
組み合わせによる違和感も指摘された。
双方向のコミュニケーションを通した学習会は、当事者、また我々専門職に とっても意義深いものである。今後の更なる発展をめざすためには、各家族の障害 受け止め等の「時期」に合致した内容の提供、家族間の効果的な交流を図るための 対象家族選定、グルーピングの工夫等が必要であると考えられる。