高次脳機能障害者に対する医療・福祉・就労支援における人材育成に関する研究

主任研究者 江藤 文夫

研究の目的

 高次脳機能障害者の地域における自立生活・就労を支援する体制を整備するための人材育成を行う。
 医療関連職、支援コーディネーター等専門職のための研修会を実施する。
 教材を開発し、効果を検証する。
 英米の支援体制および人材育成システムを検証し、本邦の施策に反映させる。

研究でわかったこと

 高次脳機能障害者支援コーディネーターを対象に、高次脳機能障害の主要症状に関する研修会、および相談頻度の高い支援事例について検討会を開催した。検討内容、形式、要望についてアンケート調査を行い、結果を次回の企画に反映させた。
 初年度に高次脳機能障害者支援の手引きを作成し、最終年度には障害者自立支援法の概要と施行後の変更点、および高次脳機能障害者支援の位置づけについて質問の多い点を整理し教材を改訂した。
 全国の地域ブロック、都道府県、および市町村における医療・福祉専門職・行政職等を対象とした高次脳機能障害者支援研修会・講習会等の開催に応じ、合計20,988部を配布した。
 英国の支援システムでは、既存の職種によるチームをコーディネートし、個別ニーズに対応したケースマネジメントを行う人材が必要とされるが、未だ専門職としての体系的養成システムは発展段階にあり、教材とワークショップ形式の研修会を通じての養成活動が有効と考えた。

結論

 本研究で行った研修会の受講者が、各自治体や関係機関において教材を用いながら自ら高次脳機能障害の研修会を開く、という流れが広がった。 高次脳機能障害支援拠点機関は、支援普及事業開始前の13都道府県から41都道府県54ヶ所に増加した。 こうした人材の体系的養成システムは国際的にも未成熟であり例がない。