高次脳機能障害者に対する地域支援ネットワークの構築に関する研究

主任研究者 中島八十一

研究の目的

 主任研究者と分担研究者は地方公共団体と連携して全国を10に分けたブロックごとに会議を運営し、これを通じて支援体制を全都道府県に普及定着させる。
 地域での連携協議会の開催、研修事業を含む普及啓発活動を行うとともに、各種プログラムについて、事例の積み上げによる検証を行い、有効性のあるものにする。
 福岡県を対象に高次脳機能障害者の実数調査を実施する。
 これらは内閣の障害者施策推進本部の新5か年計画(平成20-24年度)の施策方針に合致する内容とする。

研究でわかったこと

 支援拠点機関は平成21年3月の時点で41都道府県に54設置された。いずれも既存施設の利用および人材登用によって運営されている
 主任研究者と分担研究者がこれらの運用に当たり、指導ならびに助言をなした結果、都道府県ごとの地域支援ネットワークの構築が進み、高次脳機能障害者への支援が可能になりつつある。
 福岡県を対象地域として、県内の高次脳機能障害者実数調査を実施した結果、福岡県(人口506万人)には、6歳から69歳の年齢層で、リハ支援により社会復帰を期待し得る障害程度の高次脳機能障害者が年間114人新たに発生していた。この推計値から全国には高次脳機能障害者が68,048人いて、毎年2,884人発生すると推定した。

結論とこれからの課題

 高次脳機能障害者への支援が制度として定着しつつある。
 同様な方法を他の障害者施策にも援用できる可能性がある。