高次脳機能障害の評価とは

 私たちは子供の頃から学校や社会生活を通じて学習し、時間や約束を守る、お金を無駄に使わないなど一定の範囲の行動を取ることができます。一方、約束の時間に間に合わないことの原因は、約束したことを忘れてしまう、時間を忘れる、何かに熱中している、別のことに気を取られる、道を間違えるなど、さまざまの可能性がその背景にあり得ます。約束を守らないことは、受傷・発症に関係なく以前からあった可能性も考える必要があります。

 以上のことから高次脳機能障害についてどのような問題があるか考慮する際に次のような点に注意する必要があります。

●受傷・発症前の生活歴、知的レベル、行動特性の聴取(脳の器質病変によって生じたものか)

行動観察による評価
  1. 視点を決めて
  2. 高次脳機能障害の何が問題か→どの検査を用いるか
神経心理検査を用いた評価
  1. 平均値と分散
  2. 高次脳機能障害者に特有の反応
課題を用いた評価
  1. 総合的に判断する
  2. 場面・状況を考慮する

 評価するに当たって、家族、職場の仲間、教師などの生活や仕事の場での情報が重要です。また訓練実施場所においては、看護師、各専門職などからの情報が必要となります。その上で、どのような認知障害の特徴があり、どれが生活上の困難の原因となっているか推測します。
 次に、特定の機能に対応した神経心理学的検査を行います。人の認知機能は多面的であり複数の検査によって総合的に判断する必要があります。また、検査に当たっては場所、騒音などの環境、課題の難易度など十分に配慮する必要があります。