国リハニュース

第372号(令和5年春号)トピックス

障害のある方の自動車運転について

自立支援局 第二自立訓練部 肢体機能訓練課 自動車訓練室 小林 秀信

 当センターでは、開設された昭和54年から障害のある方を対象とした自動車の運転訓練を行っています。病気やけがなどで障害が残った後に運転を再開する際の留意点と、当センターで行っている自動車運転訓練の概要をご紹介します。

1 運転免許制度について

 運転免許証の許認可は各都道府県の公安委員会が行うため、障害のある方が運転を希望する場合は、住所地の運転免許試験場で、現在の身体状況で運転しても良いか見極めてもらう必要があります。

 運転免許試験場には「安全運転相談窓口」が設置されているため、窓口に出向いて身体状況の申告と所定の検査を受け、結果に応じて運転の可否の決定と、麻痺などがある場合は身体に合わせた運転条件が付されます。また、一定の病気に該当すると、医師の診断書が必要となることがあるため、運転免許試験場へ行く前に担当医に運転について相談し、医師の見解も伺っておくと良いでしょう。身体の麻痺などにより運転条件が付された方は、条件に適合した自動車や運転補助装置を使用しないと違反になるため注意が必要です。

2 自動車運転訓練について

 当センターの自動車訓練室では、運転免許取得後に病気やけがなどで障害が残った方を対象に、自動車の運転訓練を行っています。自立支援局の福祉サービスを利用している利用者、当センター病院の入院患者、国立職業リハビリテーションセンターの利用者の他に、定員の空き状況に応じて、通所可能な肢体不自由の方の利用も可能です。

 自動車運転訓練を希望される方は、最初に自動車運転評価を受けます。評価を行うことで、当センターでの訓練の対象となり得るか、身体状況に合った車両や運転補助装置の選択、必要な訓練時限数の見極めなどを判断させていただきます。

 訓練では、所内コースにおいて新たな運転方法の習得や、運転感覚の向上を図った後、一般道での訓練に移行します。一般道では様々な運転環境を想定し、郊外、市街地、住宅街、山坂道などで訓練を重ね、運転内容が安定した段階で訓練終了となります。

 自動車は障害のある方の移動手段としてとても有益ですが、自己判断で運転を再開すると、思わぬ罰則が適用されたり事故を招いたりする可能性があります。そのため、運転の再開を希望される方は、①主治医の見解を伺う、②運転免許試験場で運転可否の判断を仰ぐ、③運転の操作方法が変更になる方は必ず運転の練習を行うことが大切です。

 当センターでは、操作方法が変更になる方、障害等を理由に長期間運転を中断していた方など、運転に心配のある方に対して、運転内容の向上を目的に訓練を行うことができるため、運転の再開でお悩みの方はぜひご相談ください。
 

自動車訓練の写真(乗降)
自動車訓練の写真(車庫入れ)