国リハニュース

第374号(令和6年春号)トピックス

高次脳機能障害支援普及全国連絡協議会、支援コーディネーター全国会議・シンポジウムの開催報告

企画・情報部 高次脳機能障害情報・支援センター

 「高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業」(以下、「支援普及事業」という。)は、障害者総合支援法の地域生活支援事業において、都道府県の必須事業として位置づけられており、各都道府県では高次脳機能障害支援拠点機関(医療機関、リハビリテーションセンター等)に支援コーディネーターを配置し、高次脳機能障害者に対する支援体制の確立を図ることを目的として、専門的な相談支援、支援ネットワークの充実、理解促進のための普及・啓発事業、研修事業等を実施しています。

 当センターは全国高次脳機能障害支援普及拠点センターとして、支援拠点機関との連携を図り、高次脳機能障害に関する取り組みの普及定着を図るための各種事業を実施しています。その一環として、高次脳機能障害支援普及全国連絡協議会及び高次脳機能障害支援コーディネーター全国会議を年2回開催しており、2月16日(金)にWeb会議方式にて、今年度第2回目を実施しましたので、概要を報告いたします。

 午前に開催した高次脳機能障害支援普及全国連絡協議会は、支援普及事業の実施状況等に関する協議、検討、情報交換を目的として実施しており、今回は厚生労働省及び当センターから19名、各都道府県委員等211名、当事者団体等一般傍聴10名の計240名が参加しました。

 協議会では、はじめに厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課から、支援普及事業の運営方針と関連施策の動向について説明がありました。次に各都道府県の事業に関する質疑応答を実施し、高次脳機能障害者への支援体制整備、支援人材の育成、普及啓発、職業と生活の支援について意見交換と情報共有を行いました。最後に当センターから、厚生労働科学研究の成果に関する報告、高次脳機能障害情報・支援センターのウェブサイトにおける都道府県相談窓口掲載情報更新の依頼や高次脳機能障害支援者養成研修に関する情報提供を行いました。

 午後の高次脳機能障害支援コーディネーター全国会議は、高次脳機能障害者への移動の支援をテーマとして実施し、都道府県の支援コーディネーター等183名を含む205名が参加しました。最初に、当センターの浦上高次脳機能障害情報・支援センター長から「自動車運転再開支援 課題と展望」として、支援の現状を踏まえた企画趣旨について説明したあと、新潟医療福祉大学リハビリテーション学部の佐藤卓也准教授から、「新潟県における高次脳機能障害者の自動車運転再開支援」と題して講演をいただきました。

 続いて、「地域における高次脳機能障害者の移動に関する支援について」をテーマとして、シンポジウムを実施しました。千葉県立保健医療大学健康科学部の藤田佳男教授から、「地域における多様な移動の手段と移動の支援」について総括的なお話をいただき、株式会社Reha Labo Japanの永島匡氏から「地域における移動支援の実践」、高次脳機能障害者と家族の会代表の今井雅子氏から「世田谷区での高次脳機能障害者ガイドヘルパーについて」と地域における支援実践について紹介いただきました。

 参加者のアンケートでは、「自動車運転を希望される方も多いため、とても参考になった」「高次脳機能障害者だけではなく、高齢者など移動困難者への支援について考えるきっかけになった」等の感想が寄せられました。一方で、今後に向けて、「医療と障害福祉サービスの連携」「復職、就労後の支援」といった課題も挙げられました。

 今後も高次脳機能障害者への支援促進に向け、関係機関の参考となるよう協議会、全国会議を企画・運営してまいりますので、関係者の皆様のご協力をお願いいたします。