平成13年度JICA補装具製作技術コースの実施について
国際協力事業推進本部事務局

開講式
開講式
 去る8月20日、当センターにおいて、国際協力事業 団(JICA)の補装具製作技術コースの開講式が行わ れました。本年のJICA研修員は、チリからのアナマ リア・トレスさん、コロンビアからのセサール・ペラル タさん、エクアドルからのディエゴ・ムニョスさん、パ キスタンからのアーメッド・マリックさんの4人です。 これに清水基金招日研修員であるマレーシアのアズヌー ル・フセインさんが加わりました。JICA研修員の4 人は、最初に行われた日本語研修の間からとても仲が良 く、どこへ行くにもいつも一緒という情報が事務局に伝 わっています。マレーシアのアズヌールさんは、在留資 格やビザの取得、切符の手配がギリギリになり、冷や汗 をかきながらの入国準備で、最終的に日程を確定できた のはクアラルンプール出発の2日前でした。
 8月22日からは、座学の講義も始まり、お願いした 講師の先生方が異口同音に、「今年の研修員の反応はと ても良いので話しのしがいがある」と言ってくれました 。研修生の応募資料から、事前にある程度は推測できた ものの、このようなポジティブな評価が行われると担当 する事務局サイドとしてもやはり嬉しくなります。講師 と研修員のお互いが慣れるにつれて討議は活発になって 行きました。きっと研修員同士の人間関係の良好さも研 修の効果を上げるに違いありません。講義の間も理解を 深めるべく互いに助け合う場面が見られました。
 さて研修員の一人一人を紹介しましょう。チリのアナ マリアさんは、サンチャゴ市にあるルイス・カルボ・マ ッケナ小児病院のOTです。この病院は、現在チリとの 間でプロジェクト技術協力が進行中のペドロ・アギレ・ セルダ国立リハビリテーション・インスティテュートの 近くにあって、業務内容も良く似ています。そんな訳で 、当地を訪問したことのある事務局員と共通した友人も いて、相互の会話を滑らかにしてくれます。コロンビア のペラルタさんは、ことしの最年少。国では父親が経営 する義肢装具の製作所で働いています。エクアドルのム ニョスさんは、補装具製作会社で管理者として働いてい ます。パキスタンのマリックさんは、2度目の来日です 。前回は、障害者リーダーコースの研修員として来日し 、当センターを見学した折、補装具製作部を見て「僕の 仕事はこれです。いつかきっと専門の研修を受けたい」 と言っていたそうです。"Dream comes true." (「夢が本当になった(実現された)」)マレー シアのアズヌールさんも、永年の夢を実現した方です。 同僚たちの何人かがJICAの研修に参加したが、アズ ヌールさんが応募しようとしたときにはすでマレーシア の経済水準などが上がっていて、JICAの研修員とし て来日する機会は絶たれてしまいました。今回、清水基 金招日研修員としての来日となりました。長い時間と努 力の末につかんだチャンスを生かそうとする若い人々に はいつも共感をおぼえます。
 研修員の中には信じられないほどの努力をして、たい へん難しい試験を突破してきたりして、やっとチャンス を掴んできた人も少なくありません。ある意味では、研 修生である彼らに伝えるものよりも、彼らから学ぶもの の方が多いようにも思えることがあります。インターネ ット時代に入り情報の共有化が進んだ今日、この思いを 強くします。
カントリーレポート中の研修生
カントリーレポート中の研修生
 9月に入ってからは、毎日、実習の課題に取り組んで います。限られた時間で盛りだくさんの実習です。夕方 も5時までに終わらない日もたくさんあります。でもこ の与えられたチャンスをフルに生かそうと皆さん、毎日 、各自の課題に取り組んでいます。このセンターでの毎 日、毎日の思い出が母国での苦しいときのエネルギーに なって10年後、20年後、開花してくれることを期待 してやみません。
 当センターが開設して早20年が経過し、当センター の開設間も無いころやってきた研修生たちの頭には、今 や白髪が交じり、母国でも大きな影響力をもつ年齢にな ってきています。そして人と人との結びつきがアジア太 平洋地域の専門家の自然な集まりを形成するようになっ てきています。このような集まりが、アジア太平洋地域 におけるリハビリテーションの一層の充実に資するもの と信じます。



今年度の研修生からのコメントを紹介します。


モハメッド・アズヌール・フセインさん
モハメッド・アズヌール・フセインさん
『サラム・セジャンテラ(Salam Sejahtera)こんにちは
私の名前は、モハメッド・アズヌール・フセインです。 32歳で、マレーシアのクアラルンプールから来ました 。マラヤ大学医療センターの義肢装具の製作技術者です 。技術を国にもって帰りたいと思います。
テリマカシイ(Terima Kasih)ありがとう』

アーマド・ナワツ・マリックさん
アーマド・ナワツ・マリックさん
『アッサラーム・アレイクム(Asslam-o-Alakum)こんにち は
私は、アーマド・ナワツ・マリックです。義肢装具の製 作技術者でムシュタール病院という医科大学の教育病院 で働いています。この研修に私を招いてくれた日本政府 、JICA、国立リハに感謝しています。パキスタンの 障害のある人にこの研修が役立つことを切望しています 。』

セサール・ベラルタさん
セサール・ベラルタさん
『セサール・ペラルタです。21歳で、コロンビアのボ ゴタから来ました。義肢装具の製作所で義肢と装具の製 作や適合の仕事をしています。サッカーが趣味で、科学 関係の本を読むのも好きです。』

アナマリア・トレスさん
アナマリア・トレスさん
『私の名前は、アナマリア・トレスです。チリのサンチ ャゴから来ました。ルイス・セルボ・マッケナ子ども病 院の作業療法士です。職場では装具を製作し、火傷の患 者や先天性の整形外科的疾患のリハビリテーションを担 当します。写真が趣味で、きれいな貝殻を集めています 。』

ディエゴ・ムニョス・デラ・トーレさん
ディエゴ・ムニョス・デラ・トーレさん
『私の名前は、ディエゴ・ムニョス・デラ・トーレです 。32歳です。エクアドルのキトから来ました。義肢装 具の製作所で管理者として仕事をしています。日本に来 たことを幸せに思い、訓練を楽しんでいます。』