〔海外レポート〕
ISO TC173/SC2/WG10(福祉用具用語と分類ワーキンググループ)国際会議
およびREHACare(デュッセルドルフ福祉機器展)
研究所 福祉機器開発部 福祉機器開発室長 井上 剛伸


 平成13年10月2日〜7日にかけて、ドイツのケル ンで行われたISOの会議と、デュッセルドルフで開催 された福祉機器展に参加した。
 ケルンはライン川の沿岸に栄える街であり、その象徴 としてドームがそびえ立っている。ドームといっても野 球場ではなく、13世紀から19世紀にかけて構築され た大きな教会である。空港から市街地に向かう高速道路 から、その教会の2つの塔が街並みの建物から飛び抜け て高く見える風景は、まさにヨーロッパを感じさせるも のである。夜暗闇にライトアップされたそのドームは、 荘厳という言葉がぴったり当てはまる。
 そんなケルンの市街地から車で15分ほどのところに あるREHADATにおいてISO TC173/SC2/WG10の会議が開 かれた。ここでは、ISO規格 の福祉機器用語と分類(ISO9999)の審議を行っ ている。年2回ほどのペースで会議が開かれており、私 自身昨年2月の会議に続いて、2回目の出席である。山 内研究所長はここ数年このワーキンググループでの審議 に参加しており、主要メンバーの一人となっている。議 長国はスェーデン、事務局はオランダである。今回の会 議ではその他に、フィンランド、フランス、ドイツから の参加があった。主な議題は次期改定に向けての改定案 の検討であり、特に義肢装具、移動機器、コミュニケー ション関連用具、操作用具の改定案についての討議に時 間が割かれた。また、WHOの新しい障害分類(ICF)や ヨーロッパで作成されている医療機器に関する用語 の定義(GMDN)の動向などの説明があり、それらと ISO9999との整合性をどのように図るかという討 議もなされた。討議は途中2つのアドホックグループに 分かれ、私の参加したグループでは、義肢装具と移動機 器についての討議を行った。いずれもオランダグループ を中心にまとめられた原案が提出され、その修正点、要 検討事項についてチェックを行った。コミュニケーショ ン関連用具と操作用具についてのアドホックグループで は、山内研究所長の提案した改定案を基に、大幅改定に むけて審議が進められたとのことである。途中審議が紛 糾する場面もあったとのことで、激しい議論が戦わされ たようである。
 REHACareはヨーロッパで最大規模の医療・福 祉機器展である。約900の出展ブースと約5万人の参 加者である。世界各国の福祉機器が出展されており、と ても1日ではまわりきれない規模である。私としては、 専門である移動機器を中心としてブースをまわった。目 に付いたのは立ち上がり機構を有する車いすの多さであ る。日本でも、いくつかの車いすは販売されているが、 数的には少ない。障害者の関心が、移動することプラス 立ち上がることに向けられていることがうかがわれた。 また、中国系(台湾だと思う)企業のブースが多くあっ たことも、目に付いた。ISOの会議のメンバーからは “日本企業が多かったな。”といわれたのであるが、そ れは台湾だといったら少し驚かれた。日本企業ももっと 海外に出て宣伝して欲しいな、と門外漢ながら感じた一 こまであった。ちなみにあるブースで発見したヤマハの JW−Uには、“YAMAHA”の文字はなかったように思う。
 今回参加したISOのワーキングループでは、まだま だ学ばなければならないことも多く、今後もかかわって いきたいと考えている。全体を見渡した上での福祉機器 開発は重要であり、今回の会議出席及び福祉機器展への 参加はとても役立つものであった。

ライン川とケルン大聖堂
ライン川とケルン大聖堂

REHA Careの会場にて
REHA Careの会場にて