〔病院情報〕
第一機能回復訓練部 作業療法部門紹介
病院 第一機能回復訓練部 作業療法士長 森田 稲子

 作業療法部門は病院1階南側に位置し、サンルームの ような明るく暖かい所です。作業療法は英語の Occupaitional Therapyの頭文字をとって 「OT」と呼ばれています。職員は作業療法士7名、助 手3名の構成で、入院、外来あわせて約120名の患者 さんに対応しています。入院患者さんを疾患別にみると 、変動はありますが概ね50%が脊髄損傷、40%が脳 血管障害・頭部外傷で、残り10%が切断、変性疾患、 骨関節疾患等です。

 OT室の2つの出入り口は訓練時間帯は解放状態です 。中を覗くとキッチンユニット、浴漕、トイレ、ベット などを取りそろえたADL訓練室をはじめ、輪投げなど のゲーム類や、木工、手工芸の機器や作品、パソコンな どが並んでいます。日常的な作業活動を楽しんでいる様 に見えるOTですが作業療法士は患者さんの評価を通し て問題点を把握し、目的を持って課題を選択、実施して います。理学療法士及び作業療法士法では「作業療法と は、身体または精神に障害のあるものに対し、主として その応用動作能力または社会的適応能力の回復を図るた め、手芸、工作その他の作業を行わせることをいう」と 定義されています。具体的にはどのような目的を持って どんなことを行っているのか?大きくはつぎの3つに分 けられます。
@機能回復
 筋力、関節可動域、巧緻性などの身体機能および注意 、遂行機能などの認知機能の改善あるいは低下の予防を 目的とします。作業活動の遂行を手段として用いるとこ ろが特徴ですが、目的によって作業活動の選択や実施方 法が異なります。必要に応じて治療用装具も作ります。
A技能獲得
 日常生活あるいは社会生活をするのに必要な活動を可 能にすることを目的とします。障害によってできなくな った動作・活動についてやり方を工夫したり、自助具を 導入したりして練習を行い可能にする、あるいは福祉機 器の導入や家屋改造などの環境調整を指導して可能にす るなど患者さんの状態にあわせて対応します。義手の訓 練もここに入ります。
B心理的支持
 障害を得たことで、もう何もできないと感じている人 、何もできないままに過ごしてきて落ち込んでいる人が 、作業活動に従事することで、自分にもできることがあ ることに気づいたり、作業活動に携わることの喜びを再 発見したり、障害があっても自分らしく生きることへの 糸口とすることを目的として、患者さんが主体的に作業 活動に参加できるように対応します。

 以上のような日常業務に加え、高次脳機能障害支援モ デル事業への対応、学院研修会の開催、学院養成課程へ の講義、作業療法養成校等学生の臨床実習などなど、若 さを自認するOTスタッフが毎日元気に活躍しています 。

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