[病院情報]
第二機能回復訓練部の紹介
病院第二機能回復訓練部



 第二機能回復訓練部は、病院2階に事務室、訓練評価室、検査室があり、言語聴覚障害児者を対象に、業務を行っています。



聴覚障害部門  立石恒雄(言語聴覚士長)
 聴覚障害部門は、平成14年4月現在、常勤専従の言語聴覚士(Speech-Language-Hearing Therapist:ST)2名、非常勤専従の新人言語聴覚士助手2名、学院教官で第二機能回復訓練部併任の言語聴覚士2名が配置されています。また、2名の新人助手は国家試験の発表待ちの状況で、このニュースが発行されるときには”助手”の2文字がとれ、かつ1名は常勤専従になっている予定です。
 対象者は、乳児から老人までの聴覚障害を持つ外来患者がほとんどで、その内訳として、一般の外来とセンター入所生があります。
 耳鼻咽喉科の難聴外来や言語外来では、聴力検査を担当します。他機関ではっきりとした結果が出せずに紹介されてくる難聴疑いの乳幼児などでは、当センターで最終的な結果を出すという意気込みで検査に臨んでいます。
 補聴器外来は近郊の成人が主ですが、補聴器は買って持っているけれども調整や選択が不適切で、装用ができていない患者が目立ちます。本人の補聴器を再調整し、再調整で対応ができない場合は新しいものに換えて調整をし、有効に利用できるようにします。国リハに行けば補聴器が使えるようにしてもらえるという評判を聞いて来たと、新患のお年寄りに言われることが度々あります。
 難聴幼児の訓練は、聴力検査、補聴器の装用、聴こえやことばの訓練および保護者への指導がセットとなります。補聴器の効果が少ない重度難聴の幼児には、2年前から人工内耳の埋め込み手術が当センターで行われ始め、聴覚活用の著しい改善が認められています。国リハで人工内耳を着け、近隣の聾学校で教育を受けるという幼児が増加し、聾学校との情報交換を兼ねた交流が開始されました。
 入所生に対しては、入所時の一斉評価と、その後の補聴器または人工内耳の調整、発語訓練、読話訓練等を行い、社会参加への援助を行っています。
 また、厚生労働省の指導により、埼玉県は今年の後半から新生児スクリーニング検査を県の事業として行うことになり、スクリーニングで”refer(要再検)”となった乳児の精査を当センターに受け持って欲しいと要請してきました。センターがその要請を受け入れたため、益々忙しい日々となることを聴覚障害部門は覚悟しています。



言語障害部門  白坂康俊(副言語聴覚士長)
 言語障害部門は、常勤専従の言語聴覚士6名、非常勤専従の言語聴覚士2名、学院教官で第二機能回復訓練部併任の言語聴覚士2名が配置されています。
 言語障害部門で対応する言語障害の種類は、脳卒中などの後遺症でおこる失語症や発音の障害およびことばに密接な関係のある摂食と嚥下の障害、また、子供の知的な発達の遅れによる言葉の遅れ、脳性まひや口蓋裂などに起因する発音障害、そして吃音というように多様で、年齢も2、3歳のお子さんから80歳以上のお年寄りまでいらっしゃいます。
 言語障害部門の特徴は、子供の患者さんが多いことと、外来の患者さんが多いことです。言語のリハビリテーションを受けているお子さんの延べ人数は、言語訓練部門全体の四分の一強で、ほとんどは外来で通っていらっしゃいます。残りは、脳卒中の後遺症などの方で、外来が三分の一、入院が三分の二です。言語部門全体から見ると、入院と外来が半分ずつになります。
 言語のリハビリテーションでまず大切なことは、音声や、その代償手段を用いてコミュニケーションの方法を確保することです。同時に、可能な限りその患者さんの能力を生かしてコミュニケーションができるように機能訓練を行います。
 しかし、代償手段の使用や機能訓練を行っても、どうしてもコミュニケーションの能力に制限が残る場合があります。こうした時に重要なのは、患者さんを支援するご家族や、周囲の方、そして学校や職場、あるいは地域で患者さんを支える方々の協力です。そこで、こうした方々に上手な支援の仕方を理解して頂くのも私達の大事な仕事です。
 体の不自由な方のためのバリヤフリーのように、言語障害の方のためにコミュニケーションのバリヤフリーを実現したい。そういう気持ちで私達は、言語障害の方とその周囲の方々に毎日接しています。



言語障害部門職員の皆さん 聴覚障害部門職員の皆さん