[病院情報]
看護部4階病棟紹介
 



 昭和55年に開棟した4階病棟は、リハビリテーション科・内科・消化器科・整形外科・泌尿器科・神経内科の混合病棟で、夜間・休日の緊急入院、各科の治療、更生訓練所入所予定者の糖尿病コントロール(以下DMCという)、泌尿器科の手術、リハビリテーション科や神経内科などの回復期リハビリテーション目的など多様な人が入院します。緊急を含めると一日に4〜5名入院する場合もありますが、常に緊急入院に備えてベッドなどを用意する必要があります。
 疾患は、リハビリテーション科には人工呼吸器装着を含む高位頚髄損傷、内科にはDMCを含む糖尿病や肺炎など、整形外科には褥瘡など、泌尿器科には腎孟腎炎や膀胱結石・膀胱瘻造設など、神経内科には脳出血や頭部外傷などです。障害は、四肢麻痺、切断、対麻痺、視力障害、聴力障害、内部障害、片麻痺、嚥下障害、高次脳機能障害、痴呆などで、これらが重複している人も多くみられます。
 病室は、個室、2人室、4人室、6人室があります。高位頚髄損傷者にはリハビリテーションに様々な機器を設置するため4人室を準備します。
 看護のスタッフは、看護師22名、看護助手7名、朝・夕の食事時間帯のモーニング・イブニングメイトです。勤務は3交代制で3人夜勤です。看護は入院から退院まで継続受け持ち方式に則り、受け持ち看護師が責任をもって提供します。
 看護は、日常生活活動(以下ADLという)の拡大・支援、合併症の予防、心理的支援、健康教育、家族に対する介護指導、家族及びリハチームメンバーとの連絡調整、診療の補助などを行います。
 『映画「スーパーマン」の主演俳優クリストファー・リーブさん(49)は落馬事故で脊髄を損傷し四肢麻痺となり人工呼吸器と車椅子が必要となったが、運動機能の20%は回復し、一時間程度なら人工呼吸器から離れるようになった。』という内容の新聞記事があり、高位頚髄損傷患者同士で「スーパーマンは手足が動くようになったそうだ。」と話が盛り上がっていました。リハビリテーション科には、クリストファー・リーブさんのような頚髄の1〜4を損傷(高位頚髄損傷)した患者が訓練目的で入院しています。
 高位頚髄損傷者の看護の実際では様々な機器を管理し活用もしています。呼吸筋の麻痺した人は人工呼吸器で呼吸を管理します。手指に重度の障害がある人はナースコールを押すことができませんので環境制御装置を使います。息を吹くことにより作動させる呼気センサータイプや額や口唇・舌などが軽く触れることにより看護師を呼ぶことができるタッチセンサータイプのナースコールがあります。これには誤ってちょっと触れた時にナースコールが作動しないように1〜2秒のタイマー回路がついています。テレビのon・off、チャンネルを回す、音量を上下させる、電気スタンドやラジオのon・off、電動ベッドを操作することができます。操作の方法は機器に接続しているチューブを口にくわえ、息をふっ、ふっと吹いて動かしたい項目で吸えばその動きをします。必要があるときは看護師を呼べ、見たいテレビを聞きたい音量に調節して見ることができます。移動の手段では顎操作で動くチンコントロール電動車椅子・電動リクライニング車椅子、人工呼吸器付き電動リクライニング式車椅子を操作した行動を支援します。個人差はありますが、座位のバランスを保ちバランサー操作が可能になると自分で食事をとることができる場合がありますので食事訓練を援助します。パソコンではマウススティックや特殊な入力器具をセットし額や頬を使った画面操作をすればゲームや文字入力を楽しむことができるので機器を操作し易いよう環境を整えます。病棟では、高位頚髄損傷者を中心とした医療チームアプローチの成果がでるよう日常生活活動において目標達成を目指します。
 DMCでは糖尿病を持つ更生訓練所入所予定者が安全に訓練を実施できるようにするために、個別性を重視した入院治療を受けています。糖尿病腎症で透析療法が必要な人や網膜症で視力が低下し失明に至った人もいます。失明した人にはインスリン注射を行うために補助具を用いた触覚で出来る注射方法等を指導しています。インスリン療法や食事療法を日常生活で続けることができず血糖コントロール不良に陥ったり、アルコール飲用後に意識消失をきたし緊急入院したりすることもあります。アルコールはアルコール自体にカロリーがあり血糖コントロールを乱す原因でもあるのですが、長年の嗜好を簡単に絶つことは難しいようです。更生訓練所とスタッフミーティングなど連携をとりながら入所生が健康管理できるか把握し訓練を継続できるよう支援しています。入所生の自主性を尊重し各々に合った具体的な指導について検討を重ねています。
 病棟には高位頚髄損傷者・認知障害者・痴呆者・視力障害者・聴力障害者など多様な障害者が入院するため、人の移動に伴う危険などに安全の確保が必要です。その方法の一つとして視力障害者が使用する廊下に障害物を置かない安全区域を設定しています。安全対策では認知障害者と視力障害者相互の通行上のトラブル回避等、皆様が安心して病棟生活を送れるよう環境整備に努めています。また、看護の提供では機器類の管理などにダブルチェックを行うなど常に安全を意識しています。
 安全第一に、皆様の協力を得て入院生活に満足して頂けるような看護の提供につとめていきたいと思います。


看護部4階病棟のみなさん