[病院情報]
看護部 5階病棟 紹介
病院 5階病棟 副看護師長 高橋 美枝子



<概要>

5階病棟スタッフのみなさん  5階病棟は昭和56年9月に内科病棟と一般の耳鼻科と眼科の3科の混合病棟として開棟した。その後は主に脳血管障害の患者様を対象としたリハビリテーションの訓練病棟であったが、平成11年に大幅な治療病棟の編成がされて現在は眼科が8床・耳鼻科が6床・整形外科が36床の手術目的の患者様を対象にケアをしている病棟である。また整形外科の患者様の中には脊損でベッド上安静を要する難治の褥創患者様も多くその治療処置の介助も主な看護業務の1つとなっている。
 眼科白内障手術の短期入院が頻繁なために1週間の平均入院数は8〜10名で退院数は5〜6名、手術件数は整形外科も含めて10件程である。また、患者様の年齢幅も耳鼻科患者の3〜4歳の幼児から眼科の90歳台の高齢者と広がりがありそれぞれの年齢にあった対応が要求される。
 混合病棟ということと手術目的・褥創治療の病棟ということでいかにスタッフのチームワークとフットワークの良さが必要とされるか紹介してみたいと思う。



<看護>

 看護体制は受け持ち制固定チームナーシング方式が採用されて、スタッフはAチームとBチームの2チームに分かれており、各チームのメンバーはそれぞれ患者様一人一人の受け持ちになっていて入院から退院まで責任をもってケアに励んでいる。
 それでは実際の1日の看護業務の経過を述べて見よう。



10月某日(月)の業務予定表
Aチームスタッフ・・・4名 Bチームスタッフ・・・3名 ナースエイド・・・4名
入院・・・眼科 4名
退院・・・1名
手術・・・整形外科1例(THR)
包交・処置・・・16名
排便処置・・・9名
シーツ交換


 各チームのリーダーは 先ず業務の安全を配慮してスタッフが滞りなく業務遂行ができるように朝のミーテイングで役割分担を確認しあい業務の優先順位を決めていく。
 なんといっても午前中に終了しておかなければならないのは包交・褥創処置である。(午後は手術で医師が不在になる)その前にしておかなければならないのは排便処置である。まずはリーダーも入院担当も手術担当もいっせいに排便処置からはじめて、それぞれの担当の役割を実施していく。
 A.Bチームのリーダーは10時から始まる包交・褥創処置のために包交車の点検や不足なものの補充などを行い、実際の場面で戸惑うことがないように包交車の物品を準備万端に整えておく。そのために包交車の重量は55kgにもなってしまうが、リーダーはそれをおしながら医師と一緒に病棟のあちこちの部屋に散在している対象者の処置に駆け回る。感染している大きな褥創には1000ccほどの洗浄液を使用することがあり、その患者様に対して包交に適した体位を保持する者、医師の直接介助をする者、洗浄した排液を受ける者と1人の包交処置に対して3人以上のスタッフが必要となる。しかし他にもスタッフはそれぞれ入院や手術の担当で病棟を動きまわっている。そこで当病棟の師長が積極的に処置に加わって排液を受ける役割を引き受けているが、2つの大膿盆を巧みに使って一滴も排液を漏らさずに処理する師長の看護技術(?)にはスタッフで右に出る者はいない。そして、次から次へでてくる汚物や汚水を看護助手が手際よく処理していく。そうした包交処置の合間に患者様のシーツ交換を終えていくのである。そうして師長と一緒に整形外科の処置をやっと昼食前に終える頃、今度は耳鼻科の幼児の術後の処置が始まる。子供なので痛いものだと嫌がり母親にしがみついて泣き始めたりするので、スタッフはなだめたりあやしたりとどうにか処置がはじまるようにする。時には医師とその子の親・スタッフと4〜5人の大人で暴れる幼児を抑えて小さな耳の処置を終える時もある。さてやっとどうにか午前中に包交処置を終えて、昼食後は当日入院した眼科の患者様の点眼手技を確認しなければならない。ほとんど高齢なこともあるが看護師にみられながらの点眼は緊張するのか4人ぐらいの入院患者様でその時に安全で確実にできるのは1人くらいである。たかが点眼、されど点眼なのである。眼科の場合手術後の点眼手技は治癒が良好に経過するために確実に実施できなければならない。対象者は殆どが70〜90歳の高齢者なのでそれぞれひとりずつゆっくりと繰り返し指導しなければならない。包交処置などは効率よくスピーディーに行動しなくてはいけないが、眼科の患者様にはマンツーマンで理解できたか確認しながら関わらなければいけない。また各科の術後の処置についてもあとさきの順序や医師の都合などスタッフは業務内容を考えて調整していかなければならない。時には治療方針等患者様の立場になった時に患者様が不利益になるような場合には医師と師長自らが率先してバトルをはじめることもある。
 5階病棟のスタッフはさまざまな年齢層の患者様に対して瞬時に対応している。
 耳鼻科の幼児にはやさしい母親のように、高齢者の眼科の患者様には明るく落ちついた態度で、若い脊損の患者様には頼れる先輩・あるいはちょっぴり怖い姉貴のように接しているのではないだろうか。こうしたゆとりと柔軟性のある看護はそれぞれがある程度の人生経験をもち、看護師としての技術と経験も少なくてはできないだろうと思う。
 故に、5階病棟は建物の位置としても高いがスタッフの平均年齢も上記の様な理由でどこの病棟よりも高くならざるを得ないのであった。



点滴の確認をしている様子