〔随想〕
ひとりごと
更生訓練所指導部長 山口 保



 伊東から所沢に転任して1年。赴任当初は3年間の単身生活に終止符を打ち、 自宅から通勤できると思い喜んだが、通勤時間が1時間45分を要し、3回の乗り換え は50歳代後半の身にとってはかなりきつく、日が経つにつれて早起きも辛くなるよう に感じてきた。通勤時間の活用も車内で資料に目を通すなどして過ごしているが、 乱視で左右の視力差もあるので、揺れる車内では読書をあまりしないようにしている。 だから車内のことはよく目に写るので気になる様子を紹介する。それは電車に乗って いる乗客のマナーである。携帯電話をかけている人、優先席でふんぞり返って座って いる女子学生などがいるが、特に気になるのは化粧をしている若い女性をよく見かける ことである。いつ頃から女性の化粧も大衆の面前で恥ずかしげもなく堂々と行うように なったのか。近頃は特別な驚きもなく様子を眺めることができるようになったが、以前は びっくりしたものである。それは女性の化粧は人に隠れてするものと思っていたからです 。今では車内で化粧する光景にも見慣れ、先日も夕方私の前に座った女性が化粧を 始め、化粧のフルコースというか一部始終を見て順序を覚えてしまった。座席で口紅を 塗り直す程度であれば許せるが、本格的な化粧は止めてほしい。車内で化粧をする ことは時間の有効利用と言う人もいるだろうが、理由はどうあれ隠れてしてほしいと思う。 いつもたしなみを持った女性であってほしいからである。車内放送で「駆け込み乗車は お止め下さい。車内での携帯電話のご使用はご遠慮下さい。」といったアナウンスには 「車内で化粧するのはお止め下さい。」と付け加えてほしい。また、車内で携帯電話を 使用しないように放送されるが、乗客の中でも特に若い人は放送中も馬耳東風なのか、 一向に協力しなく話続けている人もいる。このような人には厳しい態度を取るべきであろう。 次は車内に限ったことではないが、言葉使いが気になる。女子高校生と思われる仲間が 試験問題を予想しているのか、「ウソー」とか「超ヤバイ」と言った言葉などを耳にした。 若者の間には理解の難しい言葉が氾濫しておりついていけない。このようにきれいな 日本語が乱れてきているのか、本屋の店頭でも「日本語の起源」、「声に出して読みたい 日本語」など日本語ブームの本が高く積まれている。言葉は時代や社会の状況に 応じて変わるだろうが、正しい言葉を身につけて話すようにしてほしいと思う。若者などの 醜い改めてほしい光景を紹介したが、人間の年代、性別などによって感じ方、考え方も 違ってくると思うが、何の苦労も知らないで育ったこのような若者達に日本の将来を託す のかと思うと不安である。若者といえば、大相撲でモンゴル出身の朝青龍関が優勝し、 頂点である横綱に昇進した。異国の高校に相撲留学し文化や生活習慣等の違う日本で どれだけ苦労したことだろう。テレビで見ていると、小さな身体で大きな力士に攻めの 早さで翻弄しているところが魅力である。稽古量も人一倍多くやったことが頂点を極めた ことと思う。このような厳しい姿勢は相撲の原点であると思うが、今の若者にも共通した ことであると思うので見習ってほしいと感じている。
 しかしながら、よく考えると職場では上司や部下から攻められ、家では女房や子供から 文句などを言われるので、長い通勤時間は誰にも束縛されない自分だけの時間であり、 有効に活用しなければと考えているこの頃である。