研究所福祉機器開発部紹介
福祉機器開発部



 研究所福祉機器開発部は、昭和59年10月に研究所開設と同時に発足し今年10月で19年目に入ります。当初は研究室が2つ、部長1名、室長1名、研究員3名でした。その後、研究室も4つに増え、研究員も多少の増減があり、今日に至っています。平成15年度には、諏訪新部長を迎え部長1名、主任研究官1名、室長3名、研究員1名、流動研究員2名、非常勤技術員1名の新体制になりました。
 福祉機器開発部の研究テーマは大きく3つに分けられます。コミュニケーション機器関係、移動・介護機器関係、義肢装具の試験評価関係です。
 コミュニケーション機器の関係では、障害者用の各種機器を開発してきました。今までに開発した機器としては、視覚障害者用音声ワープロ(NRCD-Pen)、携帯用コミュニケーション機器、重度障害者用電子図書、新型環境制御装置、走査入力式ワープロ(SCAN-Pen)などがあります。現在は、キーボード代替装置の開発、視線入力式コミュニケーション装置の開発、マウス代替装置(光マウス)の開発などを行っています。
 移動・介護機器関係のテーマでは、車いす、座位保持装置、高齢者用いすに関する研究開発などを行ってきています。現在までの研究テーマとしては、分離可能ベッドの開発、高齢障害者用車いすの開発、頭部操作式電動車いすの開発、片麻痺患者用転倒防止車いすの開発、移動・移乗用介助装置の開発、車いす用クッションの評価、床走行型リフタの安定性の評価、高齢者用座位保持装置の開発などがあげられます。現在は高齢障害者の座位環境の改善のために高齢障害者に適切な座位保持装置の選択基準を作成したり、音声操作式電動車いすの開発、電動車いすの衝突回避システムの開発などを実施しています。
 試験評価に関するテーマでは、義肢装具の試験評価方法の確立を目指して義肢装具の試験評価に関する研究を実施しています。試験評価のための規格・基準の作成、試験機の開発、実際の試験の実施などです。現在までに義足足部耐久機能試験機、金属杖用耐久試験機、義足一体構造試験装置などを開発しています。また、装飾手袋の変退色や汚れの評価方法の開発、装飾手袋の促進耐候試験の実施、金属製下肢装具用膝継手の試験、義足足部の歩行繰り返し試験、義足一体構造試験なども実施してきました。
 厚生労働省への完成用部品の申請品の工学的評価結果についても基礎資料の作成などに関与しています。ここ数年は、座位保持装置部品の申請が急激に増加し、対応に苦慮しました。これは、座位保持装置部品の工学的試験評価基準がないために、安全なものかどうかの確認が取れないためであり、対応策として厚生労働省において臨時の専門家による委員会を作り、所長と福祉機器開発部、補装具製作部のメンバーが中心になってたたき台を作成し、委員会の審議を経て試験評価基準を作成することが出来ました。今後は実際の試験評価を通して作成した基準の妥当性を検証する必要があり、座位保持装置用試験機の開発、座位保持装置部品の試験評価について、実施しようとしているところです。
 これは一例ですが、従来から開発部のメンバーは義肢装具や車いす、座位保持装置関係の日本工業規格(JIS)や国際規格を作るための専門委員会(ISO/TC168/WG3やISO/TC173/SC1,2)、ISOの国内対策委員会などに積極的に参加しています。リハ機器の用語や座位保持装置の試験方法、義肢装具の試験方法の委員会などに分担して関与しています。
 研究所では、平成7年から国際福祉機器展に連続して8回出展していますが、このうちの7割ぐらいは開発部が中心になって企画し、開発部の研究開発品の一部を積極的に出展してきました。ところで今年の国際福祉機器展は、平成15年10月15日(水)〜17日(金)に東京ビックサイト、東展示ホールで開催される予定です。今年も出展すれば、研究所の出展の第9回目になりますが、今年は開発部が中心になって出展しようと計画しているところです。皆様にご協力をお願いして、開発部の紹介を終わりたいと思います。

空圧式汎用試験装置(座位保持の負荷試験等に使用)の写真